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森保ジャパンに新たな“野心” 忍者パフォFW町野を追加招集 サプライズ決め手は「ハングリーさ」

[ 2022年11月9日 04:40 ]

日本代表・森保監督
Photo By スポニチ

 日本サッカー協会は8日、W杯カタール大会(20日開幕)に出場する日本代表に、負傷で不参加となったDF中山雄太(25=ハダースフィールド)に代わってFW町野修斗(23=湘南)を招集すると発表した。今季J1日本人最多の13得点を挙げたストライカーが、左サイドバックを主戦場とする中山の代役として“27人目”に滑り込んだ。森保一監督(54)とコーチ陣は8日にドーハ入りし、町野ら国内組は9日に出発する。

 サプライズの追加招集と言っていいだろう。左サイドバックを主戦場とする中山の代わりに追加招集されたのは、DFでも、MFでもなく、ストライカーの町野だった。

 町野はクラブを通じて「日本を代表してカタールの地で戦えることに、誇りと責任を持って行ってきます」とコメントした。

 W杯メンバー発表翌日の2日の試合で右アキレス腱を負傷し、W杯に出場できなくなった中山の代役について、森保監督はコーチ陣と議論を重ねてきた。8日にドーハ市内で取材に応じた指揮官は「W杯での戦い方を想定したときに総合的に考えて決めた。前線での攻撃のオプションになるし、献身的な守備は皆さんも見ていただけたと思う。両方のオプションとして使える」と町野選出の理由を説明した。

 町野は国内組で臨んだ7月のE―1選手権で代表初選出。3試合3得点で得点王に輝き優勝に貢献した。サバイバルを勝ち抜いて参加した9月のドイツ遠征では米国戦の後半開始から1トップに入った。ボールを収められず自らはシュートを一本も打てなかったが、森保監督はその後もチェックし続けた。W杯メンバー発表直前10月29日の湘南―鳥栖戦にはFW出身の上野優作コーチを派遣。町野はその鳥栖戦で2得点するなど終盤3試合で4得点を挙げシーズン13得点を記録。得点ランク2位に食い込んだ。

 森保監督はW杯メンバー発表会見で「経験より野心」の選考基準を示していたが、町野についても「彼の成長を見させてもらっている中で選ばせてもらった。W杯でプレーしたいというハングリーな気持ちと成功したいという野心を持っている」と強調した。

 DF陣を1人減らす決断は「今大会は全員がプレーできる」と負傷したDF冨安らが初戦に間に合うめどがついたことも大きい。左サイドバック候補には伊藤や酒井だけでなく、鹿島時代に経験している相馬の名前も挙げ、複数でカバーしていく方針だ。

 W杯メンバー発表後に選手を入れ替えたケースは06年ドイツ大会前に左太腿裏を負傷したDF田中誠に代わりDF茂庭照幸が招集された例があるが、当時とは比較にならない驚きを与えた町野。湘南からのW杯代表入りは中田英寿らが選ばれた平塚時代の98年フランス大会以来となる。今、国内で最も勢いに乗っている男はW杯でもサプライズを起こす可能性を秘めている。

 ≪原口、大迫ら含め「総合的に考えた」≫森保監督は改めて選外となったベテラン勢についても言及した。「(原口)元気であったりサコ(大迫)であったりはチームに貢献してくれて感謝しかない」とし「非情なことをしてしまったという部分において、彼らが入ってもおかしくないが、総合的に考えた」とベテランも追加招集の候補とした上で考え抜いての結論だったことを明かした。

 ◇町野 修斗(まちの・しゅうと)1999年(平11)9月30日生まれ、三重県出身の23歳。大阪・履正社高卒。18年に横浜に加入。北九州(19年J3、20年J2)を経て、昨季から湘南所属。7月に代表デビューし、国際Aマッチ4試合出場3得点。1メートル85、77キロ。

 ≪町野という男≫☆特徴 1メートル85と長身だが、スピードがあり、左右両足が使えてヘディングもできる。得点感覚もよく、横浜の三島スカウト(当時)は「未完成だが、鍛えれば面白い」と注目。

 ☆挫折 横浜の1年目は「アップが終わったらピッチの端で見学」ということも。2年目にJ3北九州へ移籍して小林監督にFWの動きを教わり開花。我慢することも覚えて人間的にも成長。

 ☆忍者ポーズ 今季からゴールパフォーマンスに。昨オフ、伊賀市に帰省した時、手裏剣体験に参加し「やってみたら思いのほか楽しかった」のがきっかけ。今では子供にも大人気。

 ☆ルール変えた 小学生だったFC中瀬SS時代からキック力があり、三重県大会でキックオフをそのまま決めていた。東海大会へ進出するとピッチの縦が5メートル長くなり、さらに翌年から「直接ゴールはダメ」とルール変更。

 ☆夢 将来の夢は「チャンピオンズリーグに出場してゴールを決めること」。W杯は「半年前まではテレビで見るもので、小さい頃から家族で一緒に見て盛り上がる感じだった」。

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