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カズ 開幕から20年、Jにはビッグクラブとスターが必要

[ 2013年5月15日 06:00 ]

未来のJリーグへの提言を語った三浦知良

 Jリーグは15日、開幕20周年を迎える。スポニチでは「J20周年 過去、現在、未来」と題し、その20年の歩みを検証しながら未来像に迫る連載をスタート。第1回は93年のJ元年から日本サッカーをけん引してきたJ2横浜FCのFW三浦知良(46)の特別インタビューを掲載。数々の金字塔を打ち立ててきたカズがブラジル、欧州での経験も踏まえ「Jリーグの今」、そしてより魅力あるリーグへ発展するための「未来への提言」を熱く語った。

 聖地国立で華々しく開幕したV川崎―横浜M戦から20周年。当時、まばゆいスポットライトを一身に集めたヒーローは、今も日本サッカーの先頭を走る。これはカズが語ったJリーグの今、そして未来への提言だ。

 「20年でクラブ数が(10から)40に増えるのは世界的にも珍しいよね。底辺のレベルは上がったと思う半面、当時のV川崎(現J2東京V)みたいなクラブがなくなって全体的に平均化した。クラブ経営でも赤字は駄目だとか、給料も抑えられたり、行き詰まっている部分があると思う」

 人気、実力が突出したクラブの消滅。昨年からクラブライセンス制が導入され、Jリーグ参加資格はより厳しく審査される。クラブ間の平均化は加速の傾向にある。

 「この世界、格差はあっていいと思うんだ。ハード面はJ2でも立派なクラブハウス、練習場がある。そうでないクラブもあるけどJリーグは平均して整っている。本来ならJ1とJ2、資金力でも違う。世界はどこを見てもビッグクラブ、中堅、そして小さなクラブがある。僕は99年にスコットランドのハイバーニアンでプレーしたことがあるけど大学の練習場を借りてた。世界にはいろんな形があるんだ」

 総じて安定しているが、憎たらしいほどの強者を倒して名を上げる、富を得るというロマンに欠ける。今のJリーグにプロ野球で言う「巨人」は存在しない。

 「だからJリーグには毎年、どこが勝つか分からない面白さはある。でも選手としては夢も欲しい。極端に言うとJリーグにはビッグクラブに移籍して今の10倍の給料をもらう夢はない。年俸1000万円の選手が1億5000万円になり、5億円になりってね。欧州にはあるから。日本では上限でも1億円でしょ。年俸が何百万という選手も多い。その選手が3年後に5億円っていう夢は考えにくいよね」

 V川崎時代、カズの年俸は2億円を超えた。富も名声も手にしたジャパニーズドリーム。誰もがカズに憧れ、他クラブは打倒V川崎に燃え、リーグ全体が活性化された。

 「21歳の頃、ブラジルのキンゼ・デ・ジャウーというクラブにいた。当時ジャウーは人口11万の小さい町で、そこに全国区でセレソン(ブラジル代表)もいるコリンチャンスが来ると町全体で“倒すぞ!”って雰囲気になった。僕はそのコリンチャンス戦でゴールを決めたんだ。ブラジル全土に生放送されて、新聞でも桁違いに扱われた。そういう文化はまだ日本にないよね。見ている子供たちだけでなく、選手も夢を持てるようなビッグクラブがない」

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2013年5月15日のニュース