キダ・タローさん死去 93歳“生涯5000曲”生み出した浪速のモーツァルト

[ 2024年5月16日 04:30 ]

10年、スポニチプラザ大阪を訪れたキダ・タローさん
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 「浪花のモーツァルト」の愛称で親しまれた作曲家のキダ・タロー(本名木田太良=きだ・たろう)さんが14日、死去した。93歳。兵庫県出身。葬儀・告別式は近親者で営まれた。所属事務所が15日、公式SNSで発表した。死因は明らかにされていない。

 今年1月には「かしまし娘」の正司歌江さんが94歳で亡くなったことに「同世代が亡くなるのは寂しいね」とコメント。3月には最高顧問を務めていたABCテレビ「探偵!ナイトスクープ」に出演し、中学1年時に病弱だった子を集団でいじめていたことを涙ながらに告白した。訃報を受け、同番組公式X(旧ツイッター)は追悼コメントを発表した。

 生涯で作曲したのは5000曲と自称した。朝日放送「プロポーズ大作戦」「ラブアタック!」などの番組テーマ曲をはじめ、プロ野球阪神の「タイガース音頭」、近鉄の「近鉄バファローズの歌」も制作。♪あらよ、出前一丁…の即席麺「出前一丁」、♪とれとれぴちぴち…の飲食店「かに道楽」、♪おやまゆうえんち~…の遊園地「小山ゆうえんち」(2005年閉園)などCM曲も多数。誰の耳にも残るメロディーを生み出した。

 5男1女の末っ子として兵庫県宝塚市内の警察官舎で誕生。父は県警捜査1課の刑事だった。音楽の道に進むきっかけになったのは、結核で死去した長兄の遺品だったアコーディオン。おもちゃのようにいじっていたところ姉に褒められ、のめり込んだという。

 関西学院高等部在学中、同郷の藤岡琢也さん(06年死去)らとタンゴバンドを結成し、キャバレー回りで小遣いを稼いだ。卒業後、大阪・難波のキャバレーにピアニストとして雇われ、同店の周年記念曲で初めて作曲を担当。その後、関西有数のバンドに所属しラジオ番組で伴奏していたことで放送業界との関係が深まり、テーマ曲やCM曲の依頼が増えた。

 2018年の本紙のインタビューで「枯渇するほど作ってませんわ。注文が来たらどないでも作れる」、最高傑作は「次の作品」と語っていた。妻はタレントの木田美千代。キダさんが猛アタックし33歳のときに結婚した。楽曲ができれば必ず最初に聴かせ、妻も夫の一番のファン。キダさんの作曲活動を陰で支え続けた。

 キダ・タロー(本名木田太良=きだ・たろう)1930年(昭5)12月6日生まれ、兵庫県宝塚市出身。19歳で関西学院大を中退し「義則忠夫とキャスバ・オーケストラ」のピアニストとして活動。65年、北原謙二さんに提供した「ふるさとのはなしをしよう」が大ヒット。関西での活動にこだわり、愛称は「浪花のモーツァルト」。テレビ局プロデューサーが、「ラブアタック!」テーマ曲とモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」が似ていることから名付けたとされる。近鉄の大ファンだった。

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