藤井王位「非常に難しい一局」制し、3連勝で4連覇王手 北海道での対局は通算5戦5勝

[ 2023年7月27日 04:30 ]

4連覇に王手をかけた藤井王位(撮影・我満 晴朗)
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 将棋の第64期王位戦7番勝負第3局は26日、北海道小樽市の「料亭湯宿 銀鱗荘」で第2日が指し継がれ、先手の藤井聡太王位(21)=王将、竜王、名人、叡王、棋王、棋聖含む7冠=が挑戦者・佐々木大地七段(28)を131手で下し、シリーズ3連勝で4連覇に王手をかけた。第4局は8月15、16日に佐賀県嬉野市で予定されている。

 プロ通算400局目という節目の一番を藤井が制したのは、午後7時5分の日没寸前だった。最後は即詰めの投了図にも「中盤にかけて、どういった形で攻めを見せるのか構想が非常に難しい一局でした」と難産の勝利を顧みる。昨年の第2局以来、これで7連勝と隙のない強さを見せつけている史上最年少7冠にしても勝利にたどり着くまでは険しい道のりだった。

 先手番で迷わず選んだエース戦法の角換わり。この条件なら過去69戦して61勝8敗、勝率.884と信じられない実績がある。だが序盤から慎重だった。佐々木の右王シフトに「こちらがどう打開するか」を大いに悩んだという。第1日の昼食休憩直前に4筋の歩を突いて早々に「開戦」。ちなみに直後のランチは「海鮮ちらし」だったが…。

 「仕掛けていったんですが、バランスの取り方が分からなかった。うまくいっていないのかなと思っていました」

 第2日にかけても一進一退。挑戦者の築いた堅陣を崩すきっかけがどうにも見つからない。そこで1筋の端攻めを敢行。突破を目指したものではなく、獲得した桂を攻めに転用し、次に銀を奪取。そのカナ駒を敵陣に打ち込み、ここを橋頭堡(きょうとうほ)に飛車を手に入れた。その飛車も敵陣に投入し、竜をつくる。真綿で首を絞めるような一連の流れは、わらしべ長者を地で行く進行だ。

 終盤では「負けの順があってもおかしくない」という場面も絶妙に切り返す。これで北海道での対局は5戦5勝。「方針が定まらないまま指してしまったところがあった。課題が残りました」とうつむきながらも王位戦V4までにはあと1勝と迫った。

 7冠をキープすれば、最後のターゲットでもある王座戦への集中度が増す。豊島将之九段(33)との挑戦者決定戦は8月4日に控える。感想戦を終え、対局室から望む小樽の夜景は宝石箱のように輝いていた。

 ≪佐々木「誤算あった」≫佐々木は健闘及ばずカド番に追い込まれた。序盤は藤井の「鉄板」角換わりを許容しながら守りを固める。一方で左辺を鋭くつつき第2日早々には角成を実現させたが「馬をつくっても、あまりポイントになっていなかった。いろいろ誤算がありました」と苦しい序中盤を振り返った。棋聖戦は1勝3敗で終了。王位戦も3連敗と後がなくなり「課題をしっかりクリアしたい」と巻き返しを期した。

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