藤井王将は「村田システム」で止める! 王座戦挑戦者決定T準々決勝、村田六段「棋士人生を懸けて戦う」

[ 2023年6月20日 04:45 ]

藤井聡太王将との対戦へ、対局場となる関西将棋会館で意気込む村田六段
Photo By スポニチ

 藤井聡太王将(20)=名人、竜王、王位、叡王、棋王、棋聖含む7冠=が20日、第71期王座戦挑戦者決定トーナメントの4強進出を懸けた対局に臨む。史上初の全8冠独占まであと1冠。対局相手の村田顕弘六段(36)が本紙取材に応じ「棋士人生を懸けて戦う」と意気込みを語った。

 村田は戦型まで「村田システムでいきます」と明かした。独自に編み出した戦型で、8強進出を決めた木村一基九段戦に続く再登板。「(藤井が)8冠を獲られるか注目を集めている。“止めたい”ではなく、棋譜で証明したいと意気込んでいます」。村田にとっても、自己最高の棋戦ベスト4入りを懸けた一番になる。

 藤井とは過去3戦3敗。最後の対局は19年のC級1組順位戦で、相掛かりの将棋を118手で敗れた。以来4年。「村田システム」はこの間に生み出した。今回、採用を公言するのは相手が藤井だからだ。「最強の相手で、オリジナル戦法の真価を問いたい」と話す。

 村田システムの全体像はまだ見えない。「角道は開けない。先手なら[先]5六歩として(中央から)主に右銀を繰り出していく」。将棋の初手は、飛先の歩を突くか、角道を開けるかのほぼ2択。村田システムは、その角道を開けず、王の頭上にある歩を早くに突く。そのため危険度は増し、AIの評価値も低い。村田自身「積み上げている途中」だからこそ、藤井戦を通じて見える成果と課題に期待する。

 今やAIを活用しない棋士はいないかもしれない。ただそれだけでは、盤上に独創性を描くことは難しい。村田は「相手が想定せず、自分だけ想定した将棋の方が戦略的にいいのでは?」と考えた。相掛かり、角換わり、横歩取り、矢倉。居飛車4大戦法以外に鉱脈を求めた。

 藤井とは同じ板谷一門で、系統図では親戚に当たる。村田の師匠が、藤井の師匠の師匠と兄弟弟子。その存在は約10年前、詰将棋解答選手権に出場して思い知る。前半の5問中2問目に取り組む最中、10歳前後の藤井は全ての解答を終えて退席した。

 「藤井さんに迫ろうと努力すること自体が一つの上達法。棋士全体を引っ張ってくれている」。16歳年下の後輩へ抱く敬意を胸に、大勝負へ「村田システム」で臨む。

 ◇村田 顕弘(むらた・あきひろ)1986年(昭61)7月14日生まれ、富山県魚津市出身の36歳。中田章道七段門下。07年10月四段昇段。10年朝日杯でベスト8進出。17年11月六段昇段。名人戦順位戦はC級1組。通算成績305勝240敗(勝率.560)。

続きを表示

「美脚」特集記事

「STARTO ENTERTAINMENT」特集記事

2023年6月20日のニュース