古き良き日本の銭湯を残したい 老朽化、経営難…廃業寸前から復活させた銭湯活動家・湊三次郎さんに密着

[ 2022年11月5日 10:00 ]

5日放送のTBS「バース・デイ」は銭湯活動家・湊三次郎さんの活動に密着する(C)TBS
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 5日放送のTBS「バース・デイ」(土曜後5・00)は老朽化、経営難で廃業寸前だった銭湯を、様々な仕掛けで客を魅了して復活させる銭湯活動家・湊三次郎さん(32)の活動に密着した。

 現在の日本ではサウナやリラクゼーション設備を強化した「スーパー銭湯」や、最新設備を取り入れスタイリッシュに進化した「ネオ銭湯」など、空前の銭湯ブームが巻き起こっている。その「スーパー銭湯」「ネオ銭湯」とは対極的な銭湯が注目を集めている。それは京都市五条の「サウナの梅湯」。創業は明治時代といわれ、話題の「ネオ銭湯」とは一線を画す、趣のあるレトロなたたずまいをしており、全国から客が訪れている。

 1日120人が利用すれば儲けが出るといわれる街の銭湯。「梅湯」にはその3倍、平均340人が訪れる。この人気銭湯を手掛けているのが銭湯活動家・湊さん。生粋の銭湯マニアで今までに巡った銭湯は約700軒。現在、湊産が手掛けている銭湯は「梅湯」をはじめ全国で7軒。そのすべてが老朽化や経営難で一度は廃業に追い込まれた銭湯だった。

 一体どのようにして復活させたのか。湊さんが手掛ける銭湯は、生きた設備をそのまま使用するなど昔ながらのスタイルを維持しながらも、新規客を取り組む工夫があった。入り口は透明なガラス戸を使用し、通りから店内がのぞけるように改装。さらに地元の野菜を販売して興味を惹かせるなど、入り口から出口まで細部にこだわった仕掛けが魅力だ。

 今でこそ全国で銭湯を手掛ける湊さんだが、始まりは各地を巡る一銭湯ファン。大学時代に銭湯にハマり、卒業後はアパレル会社に就職も24歳の頃に学生時代にアルバイトをしていた「梅湯」の廃業を聞いて引き継ぐことを決意。好きが高じて始めた銭湯経営だが、情熱だけでは続けられない現実の厳しさを思い知る。

 直面したのは老朽化した設備。煙突の補強や改修工事はおよそ800万円かかる。高額な維持費に対して、1人の単価は500円前後。引継ぎにかかる費用を少しでも削減するため、自ら電気工事二種の免許を取得。さらにスタッフにも免許を取得してもらうなど、全員の力で経営に励んでいる。

 そこまでして湊さんが古い銭湯の引継ぎにこだわる理由は「一からつくるというのはまた違うこと。ずっと人々の歴史と営みが続いてきているというところに魅力を感じる。それを次の世代に繋いでいきたい」と明かす。古き良き日本の銭湯を残したい。今ではその信念に賛同するスタッフが全国から集まっている。現在も週に2軒のペースで廃業している銭湯を1軒でも多く残すため。そして自身が銭湯の一客として戻る日まで、湊さんの挑戦は続く。

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