菅井八段が稲葉八段との同門対局を制し朝日杯初優勝「大きな舞台で兄弟弟子で勝負できたのが一番嬉しい」

[ 2022年2月23日 15:43 ]

<朝日杯将棋オープン戦>決勝で稲葉八段(左)と対局する菅井八段(撮影・島崎忠彦)
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 将棋の第15回朝日杯将棋オープン戦決勝が23日午後2時から、東京都の有楽町朝日ホールで行われ、菅井竜也八段(28)が稲葉陽八段(33)との兄弟弟子対決を制し、初優勝を飾った。

 静寂と冷気に包まれた広いホールの檀上で、菅井八段はスーツの上着を脱いで闘気をみなぎらせた。ともに井上慶太九段を師匠に持つ同門。兄弟子との決勝戦で得意戦法の中飛車をぶつけ95手で快勝し、念願の初優勝を果たした。「中盤は難しい将棋だったが、終盤はうまく指せたと思う」とホッとした表情。「初優勝も嬉しいが、大きな舞台で兄弟弟子で勝負できたのが一番嬉しい。昔からすごい数の将棋を指しているので決勝前は不思議な気分だったが、2人で真剣勝負が出来て幸せだった」と感無量の様子だった。

 一方、初優勝を逃した稲葉八段は「行けるかなと思っていたが、読みにない手を指されて形勢を悪くしてしまった。決勝で大差の将棋になってしまって悔しい気持ち」と肩を落とした。弟弟子との一局を振り返り、「たくさん指してきているが、改めて強いなと感じた」と祝福した。

 菅井八段は昨年の銀河戦に続き、今年度2つ目の棋戦優勝。「調子(の良し悪し)は考えていないが、ここ数カ月は良い結果が出ている」とうなずく。トップ棋士では少数派の振り飛車党で、順位戦はA級を舞台に戦っている。「振り飛車の棋士が少ない中で結果が出せたのは自信につながる。今日は良い日になった」。対局中には見せることのない柔らかな笑顔で喜びを噛みしめていた。
 

◆菅井 竜也(すがい・たつや) 1992年4月17日、岡山県出身の29歳。井上慶太九段門下。2010年4月、17歳で四段プロデビュー。17年に王位を獲得し、平成生まれ初のタイトルホルダーとなった。棋戦優勝は通算4回目。

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