藤井新王将 21年度の「この一手」は届きそうでも届かない角銀突進かわす5九王

[ 2022年2月14日 05:30 ]

藤井新王将誕生から一夜明け

第2図(王将戦挑戦者決定リーグ、豊島将之竜王=当時=戦での49手目▲5九王)
Photo By スポニチ

 藤井の今年度の対局は3月9日にあるB級1組順位戦のみとなりそうだ。そこで聞いた。51勝12敗、タイトル戦も驚異の18勝3敗だった今年度、「藤井聡太この一手」は?

 昨年11月5日、王将戦挑戦者決定リーグの豊島将之竜王(当時)戦での49手目▲5九王(第2図)だという。先手藤井が相掛かりへ誘導し、2歩得で迎えた中盤。豊島が銀を4六へ進出してきた。

 1三角の後方支援も受け、藤井王の右斜め前、5七地点は突破を免れない。そこで16分の考慮で王を引いた。

 角銀による、重戦車の突進を剣先でかわす王さばき。「引いたことで後手からの厳しい攻めが難しく、銀成とされても(5八に)歩が打てます。突破されにくいと思いました」

 豊島が受けた衝撃は、残り2時間から50分に及んだ直後の長考にうかがえる。この後、端歩を突き合って攻めの土台である1三角の退去に成功した。

 その他、今年度の「この一手」を挙げてもらうと、同じく王将リーグの羽生善治九段戦の98手目△8一飛、7番勝負第3局の101手目▲5四銀引成とした。そこで湧き上がる疑問。なぜ王将戦ばかりなのか。主催者の聞き手に忖度(そんたく)しているからなのか?と問うと「いえいえいえ。そんなことは…」。最難関リーグだからこそ、繰り出せた妙手の数々だった。

続きを表示

2022年2月14日のニュース