藤井竜王 驚愕の終盤力 一瞬の好機逃さぬ6三成銀

[ 2022年1月31日 05:30 ]

第71期ALSOK杯王将戦第3局第2日 ( 2022年1月30日    栃木県大田原市・ホテル花月 )

王将戦第3局第2日(A図)
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 【関口武史・明暗この一手】渡辺の封じ手は△5六歩の垂らしで中央にプレッシャーをかける。先手は急所の歩なので早く取り除きたいがその対応が悩ましい。▲同銀は△3八角が痛打だ。この角打ちは防ぎたい。

 単に▲4八金は△6四銀左~7五歩の仕掛けが厄介で、▲9九飛と地下鉄を開通するのは△7五歩▲9五香△同香▲同飛に△5七香で後手有利。83分の考慮で藤井は▲2二歩と犠打を放つ。仕方ない△同金に▲4八金と形を整えたのが苦心の手順、5六の歩を取り払うことに成功。一歩の犠牲で一手を稼ぎバランスを保ち、▲8五桂と藤井が跳ね出し局面が動きだす。

 渡辺が△4二桂と先手の4六角を狙い催促すると藤井が細いながらも先攻し戦いが始まった。不安定な王形だが渡辺も強く迎え撃ち、打たれた△7三角の「自陣角」が好感触に思われたが▲5三桂成から上部を厚くしたのが好判断で、難解な終盤戦に突入した。

 そして△3八角の両取りに▲6三成銀と踏み込んだのが先手の5六金が5五銀を支えている一瞬のチャンスを捉えた好手。仕方のない△9五角に▲7二金の王手飛車が厳しい追い打ち。打ち歩詰めや角の遠打など超難解な変化を内包する終盤戦だったが秒読みの中、正確に読み切った終盤力は驚愕(きょうがく)しかない。(スポニチ本紙観戦記者)

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