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“令和1号”日本王者・松永、V2戦延期もコロナ早期終息信じ「最善の準備を」

[ 2020年4月13日 05:30 ]

延期となっているV2戦へ闘志を燃やす日本スーパーウエルター級王者・松永信宏
Photo By スポニチ

 新型コロナウイルス感染拡大の影響でプロボクシングの興行も中止や延期が相次いでいる。札幌藻岩出身の日本スーパーウエルター級王者・松永宏信(32=横浜光)は先月7日に東京・後楽園ホールで予定されていた2度目の防衛戦が延期。コロナ禍の早期終息と興行再開を信じ、闘いの準備を進めている。

 トンネルの出口は見えない。それでも走り続けるしかない。2月末に3月の興行自粛が決まり、松永のV2戦も延期。その後、自粛期間は来月末まで延長されたが、松永は「試合ができると信じて最善の準備をするだけ」と自分に言い聞かせるように話した。

 日体大卒業後にボクシングを始め、12年に25歳でプロデビューした遅咲きのボクサー。13年に左眼窩(がんか)底骨折、16年にWBOアジアパシフィック王座を獲得した後には右目の網膜剥離を患った。2度の故障を乗り越え、昨年5月に“令和1号”の日本王者となった不屈のファイターは困難に直面しても動じることはない。

 「延期が決まった時は“やっぱりな”という感じ。当日になって“やりたかった”という気持ちにはなりましたけど。僕が挑戦者だったら違ってたかもしれないけど、現実に自分の手元にベルトはあるので、焦りとかはないですね」

 延期された期間は「自分のベースを上げる時間が増えた」と前向きに捉えた。感染防止のため、一般会員の多い時間帯を避けて午前中にジムでの練習を行い、午後からロードワークを行うなど生活スタイルを変更。清水優人(木更津グリーンベイ)との決戦に向けて黙々と準備を進めている。

 札幌藻岩では野球部に所属し、2年秋には4番サードとして活躍。秋季北海道大会決勝で当時1年生の田中将大(現ヤンキース)がいた駒大苫小牧に敗れてセンバツ出場は果たせなかったが、青春期を過ごした“故郷”への愛着は強く、数年前にはJBCへの登録を「札幌市出身」に変更した。

 もちろん目指すは世界王者。そして「北海道で凱旋試合をやりたい」という思いもある。今は暗闇の中でも松永は一筋の光に向かって走り続ける。

 ◆松永 宏信(まつなが・ひろのぶ)1987年(昭62)9月30日生まれの32歳。大阪・箕面市で生まれ、半年後に名古屋市へ移り、小学6年から札幌藻岩卒業まで札幌市で過ごす。日体大卒業後にボクシングを始め、12年7月プロデビュー。14年に東日本ウエルター級新人王に輝き、16年10月にWBOアジアパシフィック・スーパーウエルター級王座を獲得。戦績は17戦16勝10KO1敗。身長1メートル73の左ボクサーファイター。

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