拓大紅陵吹奏楽部 習志野“美爆音”との友情と高め合う「千葉の魂(ソウル)」

[ 2024年5月17日 15:30 ]

<吹部ダマシイ 拓大紅陵>笑顔を見せる拓大紅陵の吹奏楽部の部員たち(撮影・木村 揚輔))
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 【君島圭介のスポーツと人間】昨夏の高校野球千葉大会決勝戦、ZOZOマリンスタジアムのスタンドでトランペット隊が「勝利のテーマ」を奏で始めた。 拓大紅陵の野球応援演奏はこちら

 演奏したのは習志野吹奏楽部。千葉県の高校野球応援ではお馴染みのメロディー。球場は盛り上がった。高校野球ファンなら習志野高校と拓大紅陵高校の関係性はよく知っている。

 拓大紅陵は準々決勝で専大松戸に延長12回タイブレークで敗れ、決勝の舞台に上がれなかった。

 決勝の相手はその専大松戸だった。習志野は“親友”の気持ちを酌んで、拓大紅陵のオリジナル曲「勝利のテーマ」の冒頭トランペットの演奏をコピーし、その「魂」を借りて応援に勢いをつけた。

 両校は定期的に合同練習会を開くなど、互いをリスペクトしながら「野球応援」の腕を競い合う。

 拓大紅陵吹奏楽部92人をまとめる松永果夏部長(3年)は「いい意味で刺激を貰える。音も全部向こう(習志野)が上。一緒に演奏するともっとうまくなろうと思わせてくれる」と教えてくれた。

 今回、スポーツニッポン新聞社のYouTube企画「とどけ!吹部ダマシイ」の取材で同校を訪れた。「チャンス紅陵」「メイプルパワー」「深紅の誇り」など動画でも紹介したオリジナル応援曲の演奏は圧巻だ。

 松永部長のお気に入りは「ポイントゲット」で、「ノリがよくてめっちゃいい曲」と笑顔を見せた。

 得点機で演奏するチャンステーマで同校の数あるレパートリーの中でも人気の曲だという。「チャンス紅陵」と合わせて他校がコピーして演奏することも多い。

 だが、「勝利のテーマ」は特別。作曲者でもある同校吹奏楽部の吹田正人氏は「チャンス紅陵は何も言わないけど、生徒たちは勝利のテーマを他校が演奏するのは嫌だと言うんです」と話した。部として特別な思い入れがあるのだろう。

 では、習志野の演奏はどうだったのだろう?

 松永部長は「習高はいいんです!」と笑った。

 習志野もコピーしたのは冒頭のトランペットだけ。そういうところに互いにリスペクトし合う関係性が見える。

 両校の関係が高まり過ぎて、ついに「習志野―拓大紅陵」の直接対決のときだけ両校が演奏する「ツインクリムゾンパワー」というオリジナル曲も誕生した。

 クリムゾンは深い紅、えんじを表す色の名前。両校を象徴するカラーである。

 千葉県は古豪、強豪が乱立する野球王国であると同時に全国トップの「野球応援王国」でもある。

 その先頭でけん引するのが習志野と拓大紅陵、この2校なのだ。

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