矢野燿大氏 近本の決勝打引き出した中野の大きな進塁打…バント2度失敗後も気持ちの切り替えに成長感じた

[ 2024年5月16日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神1ー0中日 ( 2024年5月15日    バンテリンD )

矢野燿大氏
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 【矢野燿大 視点】近本の決勝打には、多くの要素が絡んでいた。大きかったのは中野の進塁打だ。バントに2度失敗して、カウントを追い込まれながら、バットをひと握り短く持って、外角低めの難しい球を二ゴロにし、1死三塁の状況をつくった。送れなかったミスを引きずらず、仕事を果たしたところに中野の成長を感じた。

 岡田監督も代走の切り札・植田を一番いいところで使っていた。三塁に進んだことで、前進守備の中日は、ボールを握り直すこともできないプレッシャーを、植田の動きから感じていたはず。逆に近本はバットに当てさえすれば得点できるという気持ちで打席に入った。この差も大きい。

 近本への勝負の6球目。斎藤はサインに首を振った。バッテリーの迷いがうかがえた。私ならタイムを取り、マウンドで確認していた。流れは近本に向いていた。最後は低めにしっかり対処した素晴らしい決勝打だった。

 攻撃面で何とかきっかけを作りたいという3番起用で、近本が結果を出した。苦しい中での粘り勝ち。重みのある1勝だった。(スポニチ本紙評論家)

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