阪神・近本 延長11回制すチーム最多5度目のV撃! 佐藤輝2軍降格も新オーダーけん引

[ 2024年5月16日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神1ー0中日 ( 2024年5月15日    バンテリンD )

<中・神> ヒーローインタビューで笑顔を見せる阪神・近本(撮影・大森 寛明)
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 阪神・近本光司外野手(29)が、15日の中日戦(バンテリンドーム)の延長11回1死三塁から右前へ決勝適時打を放ち、激闘に終止符を打った。12日DeNA戦から3試合続けて先発3番で出場。均衡を破る値千金の一打で、佐藤輝が5日巨人戦で記録して以来7試合ぶりの「3番の打点」をマークした。5度目の決勝打はチームトップ。0・5差で追う首位・巨人に食らいつき、「3番問題」に頭を悩ませる岡田彰布監督(66)の一服の清涼剤となった。

 0―0の沈黙を保ったまま突入した延長11回に、近本が決めた。先頭・森下の二塁打、中野の二ゴロで1死三塁と“最後”の得点機を形成。後続の大山、ノイジーがともに前の打席まで4打数無安打と苦しんでおり、12日DeNA戦から「新3番」を務める29歳は静かに燃えていた。

 「これ、絶対打たなあかんな…」

 そう思いつつ、近本の真の目的は「バットに当てること」にあった。三塁走者は虎随一の快足・植田。転がせば、もしくは浅い外野飛球でも事は起きる。“当てにいく”ためなら、追い込まれていた方が好都合。哲学者・近本だからこそ浮かぶ独特の思考で土壇場の窮地を楽しんでいた。

 「自分のスイングをしてミスショットするより、追い込まれて、しっかりボールに対応した方が(いい)。空振りするのはスライダーだけなんで、それをケアしながらだったら、追い込まれた方がいいなあ、と追い込まれてから思いました」

 左腕・斎藤の初球スライダーを豪快に空振り。この再現だけは避けたかった。2球目直球をファウル、3、4球目のスライダーとシュートを見送り、5球目シュートのファウルを挟んだ勝負の6球目。見逃せばボールの外角低めシュートを、巧みに右前へ運んだ。5度目の決勝打はチームトップ。14日に豊橋で喫した悪夢の逆転負けを、虎党の記憶から消し去るには十分な一撃だった。

 「(打席が)回ってきたら、やることは1番であろうが3番であろうが変わらない。先頭で回ってきたら塁に出る。チャンスで回ってきたらしっかり還すことだけは、何番であっても変わらない」

 近本にとって「5月」は実に相性がいい。通算月別打率は最高の・317を誇り、今季も目下11試合で同・341(44打数15安打)、3本塁打、10打点。薫風香る季節に一段とギアを上げる「ミスター・メイ」のバットで、首位・巨人との0・5差を死守した。

 主軸の一角である佐藤輝が2軍に降格し、チームは一つの正念場を迎えた。そんなときだからこそ、置かれた場所で咲く安打製造機の存在は頼もしい限り。「投手中心に守りの野球ができた。しっかり勝ち越して、関西に帰りたい」。再進撃のキーマンは、はっきりとメイ言した。(八木 勇磨)

 ○…阪神がスコア1―0で延長戦を制するのは、15年3月28日の中日戦(京セラドーム)で延長10回裏に関本賢太郎の押し出し死球でサヨナラ勝ちして以来。延長11回以上では、13年8月8日の広島戦(マツダ)で延長11回表に俊介の適時打が決勝点となって以来11年ぶり。バンテリンドームでは、02年6月13日と13年8月11日の延長10回を超える最長イニングでの1―0勝利となった。

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