阪神・才木 球団史上初のハマスタ1―0完封!「1点もやれない中できたのはでかい」セ・トップタイ4勝

[ 2024年5月13日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神1-0DeNA ( 2024年5月12日    横浜 )

<D・神>完封勝利の才木はカーネーションを手にファンに手を振る(撮影・大森 寛明)
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 阪神の才木浩人投手(25)が12日のDeNA戦で、球団史上初となる横浜スタジアムでの1―0完封勝利を挙げた。被安打4、5奪三振、2四球の128球で、3回の1点を守った。リーグトップタイの4勝目を通算4度目の完封で挙げ、9回を投げ切ったシャットアウトは、ロッテ・佐々木に投げ勝った昨年6月4日以来2度目となった。ナイターで巨人がヤクルトに敗れたため、チームは1日で首位に返り咲いた。

 128球目。才木は9回2死二塁という一打同点の場面で、4番・牧に150キロ直球を投じた。力のない邪飛が捕手・梅野のミットに収まると、満面の笑みでハイタッチを交わした。リーグトップタイの4勝目。今季2度目、通算では4度目の完封勝利を、強力DeNA打線を4安打でしのぎ切った末につかんだ。

 「1―0という、1点もやれない中で完封できたのはでかい」

 最大のピンチは7回に訪れた。先頭・宮崎に左前打を許し、続く牧には四球。ここで、味方投手陣が7点リードをひっくり返された前夜に、決勝弾を放った筒香を打席に迎えた。「インコース真っすぐ、思い切って」。梅野と思惑は一致。右腕をしならせ、二ゴロ併殺に封じた。

 「梅野さんが同じようにサインを出してくれて、しっかり併殺を取れた。あれが今日一番のプレー」

 両翼94メートル、中堅118メートルと、打者有利の球場で最少得点を守り抜いたことにも大きな価値がある。1978年開場の横浜スタジアムで、阪神の投手が1―0の完封勝利を挙げるのは、球団史上初めて。2連投中だった岩崎を温存すると決めていた岡田監督からは、「才木さまさまよ」と最大級の賛辞をもらった。

 完封勝利を挙げたのは、キャッチボールから意識するフォームの再現性があるからこそだ。才木は、距離が30メートル、50メートル、やがて遠投になっても、ゆっくりと足を上げ、低く伸びるボールを投げる。まるでそこが、マウンド上であるかのように。「“ハマるところ″を感じながら投げている。本番は打者との勝負。マウンドで自分との勝負にならないよう、無意識の中で体を動かせるように投げる」。迷いなく投げられるフォームを日頃から築き上げてきたからこそ、土壇場でも打者と真っ向勝負ができる。

 母の日のプレゼントも手渡す。練習で使用したピンク色のグラブと、試合で履いた同色のスパイクを贈る予定。兵庫県内の自宅でテレビ観戦した母・久子さんは「スパイクはいらんか。と言われたけど、家に飾るから欲しいと言った」と語った。「野球できている、それが一番の感謝」と才木。母の日は終わっても、感謝の心を忘れず腕を振り続ける。(松本 航亮)

 《甲子園以外で初完封》
 ○…才木(神)が4安打完封でリーグトップに並ぶ4勝目。完封は通算4度目になるが、本拠地の甲子園以外では初めて。過去3度のうち2度は降雨コールドによる9回未満で、9回完封は23年6月4日のロッテ戦以来。

 ○…1978年開場の横浜スタジアムは本塁打が出やすいとされ、継投なしの1―0完封は2019年8月18日広島戦の今永昇太(D=現カブス)以来。ビジター球団の投手では14年9月6日の大瀬良(広)以来8人目(9度目)で、阪神では才木が初めてだ。

 《日本人投手得点者の1―0完封は球団50年ぶり》
 ○…才木は3回に四球で出塁し、中野の適時二塁打で決勝のホームイン。投手自身が得点して1―0完封は、1987年8月9日ヤクルト戦のキーオ以来、日本人投手では74年6月26日ヤクルト戦の谷村智啓以来、球団50年ぶり。同様のケースとして、江夏豊は73年8月30日中日戦で延長11回まで無失点に抑え、その裏にサヨナラソロを放って勝利投手になっている。

 ▼阪神・梅野 (才木は)フォークやスライダーをストライクゾーンに投げていけた。それでカウントが有利になり、相手が戸惑ったんじゃないかと思う。駆け引きを含めてうまくできた。本当に、(才木)浩人さまさまです。

 ▼阪神・安藤投手コーチ 才木は調子が上がってきた中盤から、9回まで行ってくれたらと思っていた。8回にドタバタしたら、9回はゲラを準備していたけど、一人で投げ切ってくれた。しかも1―0。大きい。

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