広島・大瀬良 待望の今季初勝利 開幕から5度目の先発で7回1失点 通算1000奪三振も達成

[ 2024年5月9日 05:00 ]

セ・リーグ   広島3ー1阪神 ( 2024年5月8日    甲子園 )

<神・広>ヒーローインタビューで笑顔を見せる広島・大瀬良(撮影・平嶋 理子)
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 広島・大瀬良大地投手(32)が8日、メモリアルな日に待望の今季初勝利を挙げた。開幕から5度目の先発だった阪神戦で7回1失点の力投。6回には通算1000奪三振も達成した。同点の8回に4番・小園海斗内野手(23)と昇格したばかりの末包昇大外野手(27)の適時打で2点を奪って首位の虎に連勝。9日ぶりに勝率5割に戻し、3位に浮上した。

 被安打4の1失点で今季最多の7回106球を力投し、迎えた同点の8回。小園の勝ち越し打に大瀬良は三塁ベンチ前で両手を突き上げ、喜びを表した。自己ワースト更新を回避する開幕5戦目の初勝利。表情には充実感がにじんだ。

 「うれしかった。役目は終わりという話はあったけど、最後までチームの一員として、できることを精いっぱいやりたいと思ったので」

 序盤は3イニング連続で先頭打者を出塁させ、先制直後の3回に同点を許す苦投。菊池の好守にも後押しされ、立て直した。6回に佐藤輝をフォークで空振り三振。通算1000奪三振達成の瞬間だった。

 「1000三振はベンチで“あと1個頑張れ”と言われていたので頭にはあったけど、狙ってはいないです」

 昨季まで5年連続で担った開幕投手の座を同期入団の九里に譲った今季。新井監督は、九里本人に伝えるよりも前に大瀬良、床田、森下に自身の意向を伝えた。候補として争った立場の投手に対する指揮官なりの配慮だった。

 「僕自身、開幕投手はほぼ厳しいと思っていた。ただ、いざ言われると悔しかった」

 過日、大瀬良はそう言って笑った。自身3度目の右肘手術明け。厳しい状況でも後ろ向きな発言は控え、懸命に調整を続けた。それが自分の責務と自覚していた。そんな中で決まった大役。床田ではなく森下でもない。裏に隠された指揮官の意図を感じ取っていた。

 「代替わりではなく同期の亜蓮なら、まだチャンスはあるのかな…と。言われてはいないけど、“もう一回頑張れ”と。それが裏のメッセージだと勝手に受け止めています」

 ようやく踏み出した今季の一歩。新井監督は「何といっても今日は大地。今季一番良い投球だった。勝ちを付けてあげたい気持ちはあったし、野手もそう思っていたはず」と絶賛する。大役決定の裏に隠された意図については「もちろん、いろいろなことを考えて」と話し、うなずいた。

 「まだまだ長いイニングを投げたいと思ってマウンドに立っている。信頼を勝ち取れるよう頑張りたい」

 宝刀カットボールではなく、カーブ、フォーク、ツーシームなどの第3球種を効果的に操った。広がる今季への可能性。32歳は円熟味を増す。(江尾 卓也)

 ○…大瀬良(広)が阪神戦の6回に佐藤輝から空振り三振を奪い、通算1000奪三振を達成した。プロ野球157人目。初奪三振は14年4月2日のヤクルト戦で古野から。

 ○…開幕5戦目でシーズン初勝利は、15年と並んで自身の最も遅い記録。阪神戦勝利は21年8月27日(マツダ)以来で、甲子園に限ると18年6月22日以来6年ぶり。

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