田淵幸一氏　西武・中村剛の飛ばせる秘訣はインパクトの瞬間だけ力入れ0→100へ

パ・リーグ   西武4―5ソフトバンク （ 2024年4月29日    みずほペイペイD ）

＜ソ・西＞4回、左越えに同点ソロを放つ中村　（撮影・成瀬　徹）
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　【田淵幸一　視点】通算474号。私と並んで歴代11位となった西武の中村剛は、完璧なホームランバッターだと思う。身長1メートル75。プロ野球の世界では決して大柄ではないが、あの背丈であれだけボールを遠くに飛ばす。「無事之（これ）名馬」。長くプレーできた体の強さの一方で、その長打力の秘訣（ひけつ）は力感のないフォームにある。

　打席では力を入れずに構えて、バットも軽く握っているだけ。構えの位置も自然体だ。そこからインパクトの瞬間だけ力を入れる。0から100、そして0へ。私も現役時代は腕力がなく、同じようにインパクトの瞬間に力を集中する打法だった。中村剛は自分とよく似ていると思う。

　次なる目標の500号。ぜひ達成してほしい。西武生え抜きでは誰もいないし、長いプロ野球の歴史でも過去に8人しかいない。私自身も打ってみたかった500本塁打の世界を、ぜひ中村剛には見てほしいと思う。（スポニチ本紙評論家）