【スポニチスカウト部(12)】ENEOS・東山玲士 2冠へ導く150キロ右腕 度会先輩に続く

[ 2024年4月30日 06:00 ]

最速150キロを投げ、成長に手応えを感じているENEOS・東山
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 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第12回は、ENEOSの最速150キロ右腕・東山玲士投手(23)。ここまで順調に成長を続け、ドラフト解禁となる社会人2年目で夢のプロ入りをつかむ。

 社会人の顔からプロの顔へ――。昨秋ドラフトで3球団競合の末、DeNAに1位でプロ入りしたのは度会。先輩に続くため東山は「凄く刺激になりましたし、次は自分がという気持ちも強くなりました」とドラフト解禁となる今季への覚悟を口にした。

 ゆっくりでも確実に成長してきた。丸亀(香川)時代は3年夏に右肘を痛め、最後は思うような結果が残せなかったが、強豪・同大へ進学。2年までは走り込みなど体づくりに励み、3年から主戦投手として活躍。同年秋は防御率0・74でベストナインにも輝き「自信になりましたし、上を目指したいという気持ちにもなりました」とプロを志し、社会人の名門へ進んだ。

 チームは昨年、投手陣の柱だった糸川も西武入りし「今年は自分が主力として活躍しないといけない」と東山。覚悟はすでに数値にも表れ、3月のスポニチ大会では自己最速を1キロ更新する150キロをマーク。大台を突破し「うれしかったですし、やってきたことが間違ってなかったと思えました」と手応えも口にした。

 大久保秀昭監督の期待も大きい。2月に川崎市内で行った強化練習では、指揮官からマンツーマンでノックを受ける「特守」に指名。1時間以上、アメリカンノックなどを受け続け、心身ともに鍛えた。昨年は糸川が指名されるなど例年、期待の大きな選手が受ける名物練習。大久保監督も「今年は本人にとっても勝負の年。まだまだ鍛えないといけないところも多いが、そういう期待も込めて指名した」と東山への思いを語った。

 昨年は日本選手権で2試合登板するなど、経験は積んできた。幕が開けた勝負の2年目。「都市対抗と日本選手権で優勝に導き、ドラフトで指名されたい」。誰もが認める社会人を代表する投手となり、堂々とプロの世界へ飛び込んでみせる。 (村井 樹)

 ≪壁当てが原点 制球力も自信≫最速150キロの直球が注目されがちだが「コントロールにも自信があります」と胸を張った東山。原点は、幼少期に日が暮れるまで続けた壁当てだ。5歳ごろにテレビで阪神戦を見ると「金本さんが格好良くて、すぐにグラブとボールを買ってもらいました」。小学校入学までは連日、一人で壁に向かって投げ続け「親に止められるまでやってましたね。あの練習が今に生きてます」と、投手としての原点を振り返った。

 ☆球歴 川津小1年から野球を始めた。丸亀(香川)では1年夏からベンチ入りしたが甲子園出場はなし。同大では2年秋にリーグ戦デビューし3年秋にはベストナインに選ばれた。憧れの選手はレンジャーズ・デグロム。 

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