イチロー氏 沖縄・宮古で高校生指導 “離島から聖地へ”の思いに応えた 旭川東に続いて通算8校目

[ 2023年12月17日 18:34 ]

 打撃を披露するイチロー氏=17日午後2時9分、沖縄県宮古島市(代表撮影)
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 マリナーズで会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏(50)が16、17日の2日間に渡り宮古(沖縄)で選手指導を行った。

 
 沖縄本島から南西約300キロに位置する宮古島にある宮古は、今年の沖縄春季大会で準優勝。夏の県大会では準決勝敗退で、春夏通じて初の甲子園出場へ“あと一歩”の状態。学校関係者や生徒だけでなく、島の住民から「悲願を叶えたい」という思いが届いたことから、イチロー氏は「島全体の思いに応え、未来の礎となるきっかけを残せたら」と訪問を決めた。

 当初は屋内運動場の隣にある伊良部球場で指導予定だったが、悪天候のため屋内運動場に変更。16日の午前11時40分に白の半袖Tシャツ、青の短パンで登場したイチロー氏は「初めまして。何かね、もうちょっと盛り上げてほしいね。もうちょっとテンション上がっていいんじゃないかな。監督は島の子の性格がっておっしゃっていたけど、どうなの?遠慮しちゃうの?もう一個、先にいくためには自分を表現することは必要なことなんじゃないの?」と語りかけた。

 さらに「離島から甲子園、という悲願があると思う。2年生が3人で1年生中心という特殊な形だと思うけど。僕はみんなが生まれる前から宮古島で毎年オリックスでキャンプをしていて、2006年のWBCの時も宮古島でキャンプをして、それ以来なんだけど、結構縁起はいいと思うので、よろしくお願いします」と宮古島との縁を交えてあいさつした。

 フリー打撃や投手とのキャッチボールでも惜しみなく助言をし、午後になると部員から自発的な質問も増加。トス打撃の実演を終えた午後3時に「今日は疲れたからこれで終わり。何かやりたいことある?」と問いかけると、部員から「走塁練習がしたいです」と言われ「帰ろうかなと思ったけど甘かったか」と笑い、“予定外”の走塁練習を行う場面もあった。

 2日目はマネジャーの「練習の合間に何を食べていたか」といった質問に「高校時代は僕は何もさせてもらえなかった(笑)」と笑いを交えながら返答。屋内練習場から隣接する伊良部球場に舞台を移すと、午後にフリー打撃を実演。89打席で本塁打は23本。推定130㍍弾も披露した。

  イチロー氏が高校生を指導するのは、20年の智弁和歌山、21年の国学院久我山、千葉明徳、高松商、22年の都新宿、富士高、11月の旭川東に続き8校目。

 宮古は沖縄県宮古島市にある県立高校。1928年開校の「沖縄県立第二中学校宮古分校」を起源とし、略称は「宮高」。卒業生にはフリーアナウンサーの垣花正やJリーグの札幌などで活躍した上里一将らがいる。

 学生野球の指導には、原則としてプロ球団を退団する必要がある。だが、イチロー氏の野球界への功績の大きさや、アマ選手の獲得に携わる立場でないことを踏まえ、日本学生野球協会が特例を容認。イチロー氏は2019年12月に学生野球資格回復制度の研修会を受講し、20年2月に資格を回復。マリナーズでの活動がないオフシーズンに限り、高校生や大学生への指導が可能となり、以来各地の高校で指導している。

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