由伸争奪戦にメジャー15球団参戦 代理人も驚く「パーフェクト・ストーム」が起きた5つの理由

[ 2023年11月23日 04:00 ]

オリックス・山本

 オリックスからポスティングシステムで大リーグ移籍を目指す山本由伸投手(25)の代理人を務めるジョエル・ウルフ氏が21日(日本時間22日)、オンラインで日本メディアの取材に応じた。総額2億ドル(約300億円)超とされる争奪戦に参戦する球団は「10~15球団」と公表。史上空前の大フィーバーを「パーフェクト・ストーム(究極の嵐)」と表現し、生み出す5つの要因も明かした。同日から交渉が解禁され、年内決着を示唆した。

 代理人歴25年を誇るウルフ氏も驚いた。日本のエース、山本のメジャー挑戦。その反響の大きさは予想を大きく上回った。

 「これまでの選手の中で最も多くの球団が関心を示している。10~15球団だ」

 21日から交渉が解禁。ダルビッシュ、千賀らも担当する米エージェント会社「ワッサーマン・メディア・グループ」のウルフ氏の元に「今朝早くから多くの球団から電話やメールが入った」という。ヤンキース、ドジャースの名門球団に加え、ダイヤモンドバックスなど中規模市場の球団も関心を示しているとした。

 なぜ、これほど人気を集めたのか。同氏はその背景を「10~15年に1度のパーフェクト・ストーム」と表現。(1)25歳の若さ(2)FA投手市場(3)WBC制覇&3年連続沢村賞(4)詳細な投球データ入手(5)エンゼルスからFAした大谷の存在という、5つの要因を挙げた。

 特筆すべきは(1)。メジャーの選手は30歳前後でFAとなるケースが多くすぐにピーク終盤となるが、長期的活躍が見込まれ「獲得球団は彼の全盛期を買おうとしている」。(2)は先発投手の「売り手市場」。右肘手術の影響で大谷の投手復帰が25年にずれ込んだことも追い風となった。

 (3)により実力を認められたが、日本のプロ野球でも高性能弾道測定器「トラックマン」などが一般化し、米国でも容易に(4)が可能となった。「ここ数年の全投球データが各球団に届く。由伸の6、7球種はエリートレベル」。史上初の2度目の満票MVPに輝いた(5)も日本選手の評価を上げ「(史上最高額の更新が確実な)彼の契約の大きさが由伸の契約に影響する可能性はある」と分析した。

 現在、米国滞在中の山本は近日中に帰国予定。次回渡米は12月7日(日本時間8日)閉幕のウインターミーティング後とされる。同氏は地理的要因や日本選手の有無は、希望球団に影響がないことを強調。身長1メートル78のサイズを不安視する声には、1メートル80で通算219勝の右腕ペドロ・マルティネス氏(レッドソックスなど)を引き合いに、一蹴した。

 「(交渉期間の)45日間全てを使う必要はない。1月4日(同5日)の締め切りよりもずっと早く終わらせたい」。クリスマス休暇を前にした年内決着を目指す。(笹田幸嗣通信員)

 ▽パーフェクト・ストーム 2000年に公開された米国の映画。91年秋、北大西洋上で3つの嵐が重なり、行方不明となった漁船の捜索活動や、航海に出た背景を描く。ジョージ・クルーニー出演、ウォルフガング・ペーターゼン監督。元来の意味は複数の厄災が同時に起こり、破滅的な事態に陥ること。究極の嵐。

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