【アレのアレをありがとう】甲子園事業部運営担当・窪田真子さん「いつか日本S放送を」夢かなえた虎に感謝

[ 2023年11月23日 05:15 ]

甲子園球場で場内放送を担当する窪田真子さん
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 甲子園球場で場内アナウンスを担当するのは阪神電鉄の社員で甲子園事業部運営担当(放送)という役職だ。通常5~6人いる。

 毎年、年頭に指導員の先輩OGの下「今年の目標」を発表する。

 窪田真子さんは今年「日本シリーズの放送をしたい」と話した。入社13年目の最年長で春夏の高校野球決勝も阪神開幕戦も経験してきた。ただ、日本シリーズの経験はなかった。14年のシリーズは甲子園で第1、2戦が行われたが、まだ経験不足で出番は回ってこなかった。

 17年の福岡や昨年の神宮、京セラなど、休暇をもらって自費で日本シリーズを観戦に出向き、「プロ野球の最後を飾る舞台」への思いを募らせた。

 夢は現実となった。リーグ優勝し、クライマックスシリーズ(CS)も突破。チームの活躍をありがたく感じた。智弁学園当時の16年選抜決勝でコールした村上が君付けではなくなり、大活躍するのをうれしく見ていた。

 日本シリーズは甲子園での第3、5戦を担当した。初の大舞台に「自分で盛りあげ過ぎて」と緊張した。「せっかくだから楽しもう」「いよいよ来た」と緊張した。試合前、シーズンとは異なる賞品案内でまた緊張した。

 そんな心が先発メンバーを読み上げると落ち着いた。「今年はメンバーが固定されていましたから。普段通り読み上げていくと、気持ちが静まっていきました」。岡田監督のメンバー固定は選手同様に、放送員にも平常心を呼んでいたわけだ。

 雰囲気を味わった。「初っぱなから違っていました。一つアウトを取るごとに大歓声が湧き上がる。これまで聞いたことがない一体感がありました」

 第5戦は8回裏、森下の三塁打で逆転する劇的勝利だった。「平常心…と言い聞かせていましたが力んでしまって」。続く「4番…」のコールは少しおかしかったそうだ。

 野球好きの父に連れられ、幼い頃から家族で甲子園に出かけた。お菓子と帰りに阪神パークで遊べるのが楽しみだった。ただ、多くの人びとに伝える場内放送を「かっこいい」と感じ、家に帰って、まねをしていた。

 少女の頃の夢がかない、今も夢は広がる。今回準備していた日本一達成時のアナウンスは「また、その日を夢見て」と目を輝かせた。  (内田 雅也)

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