ドジャース 大谷をDHの枠空けて待つ格好に 移籍情報サイトは12年792億円と提示条件予想

[ 2023年11月8日 03:00 ]

7月の対戦時、ドジャースのベッツ(左)から話しかけられる大谷

 エンゼルスからFAとなった大谷翔平投手(29)が6日(日本時間7日)、エ軍との独占交渉期間を終えて他球団との交渉が解禁となった。世界一7度の名門で移籍先候補のドジャースはDH専任のJ・D・マルティネス外野手(36)に今季の所属球団が規定額で1年契約を求める「クオリファイング・オファー(QO)」を提示せず、FAとなることが決定。DHの枠を空けたような格好となり、受け入れ態勢は万全となった。

早くも緊張感が漂う。それもそのはず。いまやメジャーでも唯一無二の二刀流スターの大谷が、初めてFAとなって迎えたオフだ。大リーグの球団幹部や代理人らが集まるGM会議開幕を翌日に控え、関係者が続々と会場となるアリゾナ州のホテルに到着。エンゼルスのアート・モレノ・オーナーとペリー・ミナシアンGMは会場で話し込み、ポスティングシステムを利用してメジャー移籍を目指すオリックス・山本の代理人ジョエル・ウルフ氏も姿を見せた。

 目に見える動きを見せたのは大谷の移籍先の有力候補のドジャースだ。6日は単年2032万5000ドル(約30億5000万円)のQOの提示期限でエ軍は予定通り大谷に提示したことを公表。一方でド軍は今季33本塁打でDH専任のマルティネスに提示しなかった。昨オフは緊縮財政で資金を捻出。単年契約の36歳で“QO提示せず”は予定通りだが、実績ある大砲を早々にFAにするほど大谷の優先度は高い。ロサンゼルス・タイムズ紙のド軍担当であるジャック・ハリス記者はSNSで「大谷獲得への関心度の高さを考えるとDHの枠を空ける必要がある」と解説した。

 ド軍は花巻東時代から大谷を追い続ける名門で11年連続でプレーオフに進出中。17年オフに日本ハムからメジャーに挑戦した際も獲得を狙った。当時のナ・リーグはDH制がなかったこともあり願いはかなわなかったが、22年に両リーグでDH制が採用され、現在は大谷の選択肢も広がる。今季44本塁打で日本選手初のタイトルも獲得した大谷が加入すれば、今季39本塁打のベッツ、同打率・331のフリーマンらとの最強打線が完成する。ワールドシリーズ制覇を目標に「ヒリヒリする9月を過ごしたい」と訴える大谷が来季は打者で、右肘手術から投手復帰する25年以降は二刀流でフル回転できる環境が整っている。

 大谷の来季所属候補はド軍の他に同じく名門のジャイアンツ、今季までの6年間を過ごしたエンゼルス、千賀が所属するメッツ、ダルビッシュが所属するパドレスなどが挙がる。最低でもメジャー史上最高の5億ドル(約750億円)規模とされる大争奪戦。移籍情報サイト「トレード・ルーマーズ」は12年5億2800万ドル(約792億円)でド軍入団を予想する。いつ、どんな決断を下すのか…。世界が去就に注目している。

 ▽クオリファイング・オファー その年の年俸上位125選手の平均額を規定額とし、FA選手の旧所属球団が1年契約を提示する制度。今季の規定額は2032万5000ドル(約30億5000万円)。戦力均衡を目的に12年に導入された。この日が提示期限で受諾期限は米東部時間14日午後4時(日本時間15日午前6時)。大型契約が見込める大物選手は拒否が通例で大谷も受諾しないとみられる。選手がQOを拒否して別の球団と契約を結ぶと、旧所属球団には補償としてドラフト指名権が与えられる。

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