関西シリーズ【男たちのプライド】オリックス・阿部“ネット被害”から救ってくれた中嶋監督へ恩返しを

[ 2023年11月5日 05:40 ]

SMBC日本シリーズ2023第6戦   オリックス5ー1阪神 ( 2023年11月4日    京セラD )

<オ・神>練習でナインを鼓舞する阿部(撮影・岸 良祐)
Photo By スポニチ

 オリックス・阿部は昨年の日本シリーズで、ショッキングな経験をした。第2戦でヤクルトの代打・内山壮に、9回に同点3ランを浴びたことで、有名な百科事典サイトの自身のページを書き換えられた。心ないファンに、打たれた日の10月23日を「没日」とされたのだ。

 人の生死を軽んじる行為など、断じて許されない。好青年を絵に描いたような右腕は傷ついた。ただ、チームの勝利をフイにした責任を強く感じ、打たれた後の記憶はあいまいだ。はっきり思い出せるのは移動日を挟んだ第3戦の試合前セレモニー。選手紹介で京セラドーム大阪のグラウンドに出ると、中嶋監督が合掌ポーズをしていた。“ネット被害”をイジられたのだ。

 笑いに変えられたことで、逆に救われた気がした。第5戦には勝ちパターンで使ってくれた。日本一に貢献することができた。

 あれから1年。京セラドームまで自転車で10分の場所に生まれ育ち、少年時代に近鉄のファンクラブに入り、阪神戦をテレビで連日のように見ていた生粋の関西人は、「不思議と言えば不思議」という感覚で59年ぶりの関西ダービーを戦う。

 中嶋監督への恩義は忘れていない。3連投をさせない基本方針を「うまく回してもらっているおかげでケガなくできている」と感謝する。成績で恩返しを――。そう胸に秘め、腕を振り続ける。(倉世古 洋平)

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年11月5日のニュース