阪神・大山「全試合4番出場」を弾締め 代名詞の全力疾走が生んだ「最高出塁率」の初タイトル

[ 2023年10月5日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神4―5ヤクルト ( 2023年10月4日    神宮 )

<ヤ・神>初回、大山は2点本塁打を放つ(撮影・須田 麻祐子)
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 セ・リーグは4日にレギュラーシーズン全日程を終えて個人タイトルが確定し、阪神・大山悠輔内野手(28)は7年目で初戴冠の最高出塁率に輝いた。ヤクルト戦は初回の先制19号を含む2安打締め。球団では09年金本知憲以来の「全試合先発4番」に花を添えた。中野拓夢内野手(27)は3年目で初の最多安打、近本光司外野手(28)は2年連続4度目の盗塁王を獲得した。

 大山は黄色い大歓声を全身に浴びながら、淡々と帰途を歩いた。頬は一切緩めない。むしろ引き締めたようにも映る顔には、7年目での初タイトル「最高出塁率」獲得の歓喜は刻まれていない。143試合、虎の柱として走り抜いた事実だけが手応えとして残る。

 「1年、無事に終わったんで、良かったのかなと思います」

 レギュラーシーズン最終戦。初回2死一塁では逆転での「勝率第1位」を目指した大竹を援護する先制点を左越え19号2ランで叩き出した。フルカウントから来た高橋の甘いチェンジアップを逃さず一振りで仕留めた。「2死から得点を挙げることができて良かった」。続く佐藤輝の一発も誘引した。

 同点を許した直後の6回1死二塁では石山からの中前打で好機を広げ、佐藤輝の一時勝ち越し犠飛を呼んだ。計2安打の2出塁で出塁率・403。2位で迫っていたDeNA・宮崎を振り切った。

 打率・288での最高出塁率は現行規定になった85年以降では92年清原和博(西武)の同・289を下回って最も低い。四球が多いことの裏返しで、99四球は次点のヤクルト・村上に9差をつけて断トツだった。どんな凡打でも一塁まで全力疾走。内野安打をもぎ取ったことも一度や二度ではなかった。

 いまや代名詞にもなった「全力疾走」。アマチュア時代からの信念だ。白鴎大入学時の監督で、4年時は総監督も務めた藤倉多祐(かずまさ)さんが証言した。「凡フライ、ゴロでも一生懸命走る。バットを叩き付ける姿なんて見たことない。ホームランでガッツポーズをしたところも見たことがない。それは今も変わらないでしょ?」。プロ球団のスカウトが視察に来ても、格好をつけたり、よそ行きのプレーをしたことはない。「与えられたことをしっかりやるタイプ」。泣き言も言わず、礼儀正しい青年の頃の姿はいまも変わらない。

 開幕から全試合で先発4番を全う。主砲として猛虎の新時代を支えるにふさわしい勇姿を見せ続けた。次に見据えるのは85年以来の日本一。38年ぶりの大目標を手にするまで、全力で駆け抜ける。(八木 勇磨)

 ○…阪神は初回、4番大山19号2ラン、5番佐藤輝24号ソロの連弾で3点を先制。2人のアベック弾は7月27日の巨人戦以来今季4度目で、通算10度目。2者連続で打ったのは今回が初めて。

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