サイヤング賞当確のコール、頂点に立てたのは、去年8月31日の大谷との対決がきっかけ

[ 2023年9月28日 13:24 ]

ヤンキースのゲリット・コール投手(AP)
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 ヤンキースのゲリット・コール投手(33)が27日(日本時間28日)のブルージェイズ戦に先発登板、9回2安打5奪三振で完封勝ちした。今季は33試合に先発、209回を投げ、15勝4敗、防御率2・63、223奪三振、WHIP0・98のずば抜けた成績。キャリア初のサイヤング賞選出は間違いない。

 スポーツイラストレイテッド誌がコールがメジャー11年目で、投手の頂点に立てた理由について、昨季のエンゼルスの大谷翔平との対決があったと紹介している。

 22年8月31日のエンゼルス戦。コールはエ軍打線を5回まで3安打に抑えていた。対大谷も第1打席は初球を大きな中飛、第2打席はフルカウントで三飛と2打数0安打だった。そして迎えた6回裏。内野安打と、内野手の失策で1死1・2塁のピンチに再び大谷。初球は直球で外角ぎりぎりをねらってボール、2球目はチェンジアップでこれもボール。カウントが悪くなっため、3球目は直球でストライクを取りに行く。それが甘く入った。大谷は待ってましたとばかりにバットを強振、中越えに本塁打をかっ飛ばした。コールは打球を目で追うこともなかった。

 オフの間何度もその打席について考えたそうだ。コーナーを狙わず、初球からストライクゾーンで力勝負をしていれば、どうなっていただろうか?コーナーに投げるから、外れるとカウントを悪くし、ストライクを投げるしかない状況に追い込まれる。そして昨季の33被本塁打はリーグワーストだった。コールは直球の平均球速96・7マイル、スライダー、カーブ、チェンジアップ、カッターと5つの球種を駆使する球界を代表するパワーピッチャーだ。もっと大胆に行って良い。20代前半、パイレーツ時代は低めにボールを集めようと焦点を絞ったが、結果はいまひとつだった。18年にアストロズにトレードされると、ア軍の首脳陣は振り遅れになるから速い球で高めをどんどん攻めろと指導。それが上手く行き18年はサイヤング賞投票で5位、19年は2位と活躍した。しかしながら20年のヤンキース移籍後は、打者もスイングをアジャストして高めを上手く打つようになってきたから、コールも再び低目を丹念につくようにした。それはある程度はうまく行ったが、ボールも先行し、前述の通り、22年は33被弾だった。

 コールは自分のデータを見て考えた。昨季は飛球が本塁打になった確率は高かったが、飛球そのものの数が少なかった。しかしながら、彼が一番良いときは力のないフライをたくさん打たせていた。であれば、走者がいない時は、打者にもっとバットを強振させれば良い。高めの直球を去年より46%も増やした。結果的にこの球への打者の長打率は22年の・527から23年は・282と著しく下がった。今季の被本塁打数は20本である。

 「以前は完ぺきに投げようとして、カウントを悪くして、逆に気持ちの面で追い込まれてしまうことがあった。今年は焦らずに、1球1球しっかり投げられている。球種の選択を変えたりダメージが大きくならないようにできている」とヤ軍のマット・ブレイク投手コーチ。

 コールも「打者への戦略を変えたことで、自信を持って投げられているし、結果も良い。仮に打たれても、打たれた原因がつきとめやすい」と分析する。ちなみに今季のコールはエンゼルス戦での登板がなく、大谷と対決することもなかった。

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