阪神・西勇 超速完封G倒でM3 14日にも虎最速Vや 9回の西コールには「泣きそうになりました」

[ 2023年9月13日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神1―0巨人 ( 2023年9月12日    甲子園 )

<神・巨>完封勝利を決め、、ガッツポーズで喜ぶ西勇(左)(撮影・平嶋 理子)
Photo By スポニチ

 阪神は12日の巨人戦で、西勇輝投手(32)が9回2安打で今季初完封。今季プロ野球最短の2時間6分で終えCS進出を確定させる1―0勝利で、球団55年ぶりとなる9試合連続の先発投手による白星につなげた。チームは9月9戦9勝で、球団初となる同一シーズン3度目の9連勝。2位の広島がヤクルトに敗れ、優勝マジックは2つ減って「3」とした。14日に「アレ」を決めれば、03年の9月15日を上回り球団最速のV決定となる。

 最後は甲子園全体が西勇の背中を押した。1―0で迎えた9回。マウンドへ向かう右腕に先発投手では異例の登場曲が流れた。光永亮太の「Always」をバックに、西コールが場内を包んだ。

 「マウンドに上がる時に歓声が凄くて、ちょっと泣きそうになりました」

 2死一塁。1ボールからの2球目に代走・重信の二盗を女房役・坂本が好送球で阻止し、今季プロ野球最短の2時間6分で試合が終了した。序盤から持ち味のテンポを最大限に生かし、2安打6奪三振で二塁すら踏ませず。7勝目を117球の完封で飾り「7連戦の頭をしっかり投げることができて良かった」と、うなずいた。

 西勇に勝ち星がついたことでチームが9月1日のヤクルト戦から続く先発投手の勝ち星が9試合連続に伸び、球団では68年の8月18~31日以来、55年ぶりの記録に到達。江夏豊、村山実、バッキーらが積み重ねた数字だ。埋もれていた先人の足跡をまた一つクローズアップさせる白星は、圧巻の内容だった。

 7月5日、阪神に移籍後初めて成績不振により出場選手登録を抹消された。それでも、プロ15年目の右腕は約1カ月半に及んだ期間を無駄にしなかった。

 「こんな感覚やったっけ?というぐらいのズレがあった。ズレを戻すのが大変だった」

 取り組んだのは「フォークボールの精度を取り戻す」こと。フォークに限らず、スライダー、シュートなど持ち球の全てで数年に1度、思い描く感覚で投げられないことがあるという。今季は、6回3失点で降板した5月24日のヤクルト戦以降はフォークの感覚を完全に見失ったまま、投球を続けていた。

 ただ、再調整中に2週間で約1000球の投げ込みを敢行。握り方から試行錯誤を重ね、「これで大丈夫」と手応えをつかんだ。内外角の幅を最大限に生かした投球スタイルが特徴ながら、フォークを駆使して「縦」のストライクゾーンもいっぱいに使い、8月22日の1軍復帰昇格以降は4戦2勝、防御率1・26。本来の姿を完全に取り戻した。

 岡田監督は「今年一番のピッチングだった」とチーム最年長右腕を称えた。18年ぶりの優勝にマジックを3とし、「早くアレを経験して、みんなでビールかけしたい」と西勇。球団最速となる9・14胴上げの現実味が増してきた。(石崎 祥平)

 ≪現役単独トップ13年連続100イニング≫ ○…西勇はこの日の完封により今季の投球回が101回1/3となり、13年連続で100イニングをクリア。現役では楽天・岸、ヤクルト・石川の12年連続を抜き、単独トップに立った。節目の数字を目前に控えた前日には「ここまで来たら、みんなで頑張るだけ。自分がというより」と、フォア・ザ・チームの精神を強調。7連戦の初戦を一人で投げ切り、ブルペン陣に休息をもたらした。

 ≪球団55年ぶり9戦連続で先発投手に勝ち星≫ ○…西勇(神)が2安打完封で7勝目。完封は通算12度目になるが、スコア1―0は初めてだ。チームは1日ヤクルト戦から9試合連続で先発投手が勝利しており、これは1968年8月以来、球団55年ぶり。球団最長は37年と63年に11試合連続がある。
 ○…阪神の個人完封勝利は村上、伊藤将、才木、大竹に続き西勇で5人目。シーズン5人の完封は、09年に能見篤史、下柳剛、福原忍、岩田稔、久保康友で記録して以来14年ぶり。

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年9月13日のニュース