メッツがスターンズ編成本部長と5年契約 FA市場での大谷獲得の可能性は低下か?

[ 2023年9月13日 12:25 ]

デビッド・スターンズ氏(AP)
Photo By AP

 メッツのスティーブ・コーエンオーナーが、ブルワーズを4年連続でポストシーズンに導いたデビッド・スターンズ氏(38)と5年契約を結んだ。編成本部長に就任する。12日(日本時間13日)複数の米メディアが報じた。

 まだ契約が残るビリー・エプラーGMは現時点でメッツに残りスターンズの部下として働くことになっているが、球界関係者はチーム作りの考え方が異なる場合は、球団を離れると予測している。

 コーエンオーナーは以前から大谷翔平に強い興味を示していたが、この人事でFA市場での大谷獲得の可能性は低くなったのかもしれない。

 スターンズ氏はニューヨーク出身で、メッツファンとして育ち、アイビーリーグのハーバード大で学んだ。メッツのインターンを経て、MLB機構に就職。ガーディアンズの野球運営部門に移って1年間働いた後、12年から15年はアストロズのジェフ・ルーノーGMの側近として、強豪チームの土台作りに大きな役割を果たした。そして30歳の若さでブルワーズのGMに抜てき、18年から21年、4年連続でポストシーズンに進出させた。19年1月には編成本部長に昇進した。スモールマーケットチームのブルワーズはサラリー総額で30球団中20番目程度。それでもスターンズは抜け目のないトレードで選手層を厚くすることに成功した。とりわけ18年にはクリスチャン・イエリッチをマーリンズから獲得している。ドラフトでは16年にコービン・バーンズを4巡指名、バーンズはサイヤング賞投手に育っている。

 コーエン氏は20年にメッツのオーナーになった頃から、スターンズ氏に注目していた。コーエン氏の目標はドジャースのように毎年優勝を狙える層の厚いチームを作ることだが、15年就任のアンドリュー・フリードマン氏がドジャースを変えたのに習い、有能な編成本部長を探していた。だがブルワーズとの長期契約があったため、引き抜くことはできなかった。スターンズ氏は22年シーズン終了後、編成本部長の座から降り、契約最終年の23年は球団アドバイザーとして働いていた。

 元ロッキーズGMで、現在はMLBネットワークの解説者を務めるダン・オダウド氏は、エプラーGMがスターンズの部下として残るかどうかについて、「エプラーはエゴの強い人ではないが、問題はチーム作りの考え方の違い。スターンズはこれから新しいシステムを導入していかなければならない。そのためには本部長とGMが同じ考え方でないといけない。考え方が違う場合は交代した方が良い」と持論を述べた。ベテラン記者のジェイソン・スタークは「メッツはフロントのスタッフを先日大量に解雇した。新しい編成本部長が彼のスタッフを連れてくるからだ」と付け加えている。その上で「次に気になるのは契約が切れるブルワーズのクレイグ・カウンセル監督がスターンズ氏に続くかどうかだ」とバック・ショーウォルター監督の去就についても言及している。

 大谷獲得については、メッツが来季24年の目標をどこに置いているかが大きなポイントだ。トレードデッドラインでジャスティン・バーランダーとマックス・シャーザーを放出し若手有望株と交換した時は、現実的には次に世界一を目指せるのは26年という話だった。その後、コーエンオーナーは、24年も戦うし、侮れないチームを作ると言い直している。果たして、スターンズ氏の考えはどうなのか?24年、25年が再建期なら、勝ちたい大谷がメッツを選ぶとは考えにくい。加えて、エンゼルスでお世話になったエプラーGMもいなくなるのであれば、さらに可能性は低下する。現時点でスターンズ氏の就任会見は公式戦終了後。その時にスターンズ氏の口からメッツの今後の方向性がより明らかになる。

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年9月13日のニュース