メジャーで最強の打順は「2番」、大谷も2番でのOPS(出塁率+長打率)は1・207

[ 2023年9月9日 16:50 ]

エンゼルス・大谷翔平
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 メジャーでは以前から「2番打者最強説」が唱えられてきたが、大リーグ公式サイトが数字の上でも、2023年シーズンは1920年以降初めて、2番打者が最高のOPS(出塁率+長打率)を弾き出していると報じている。メジャーでも長い間、1番打者は足が速い選手で、2番はバットコントロールが上手なタイプ、パワーもアベレージも兼ね備えた最も優れた打者は3番か4番を打つのが定石だった。

 それがここ10年は、最高の打者をなるべくたくさん打席に立たせようという考え方に変わった。つまりベストの打者は1番か2番を打つ。例えば今季の1番打者はナ・リーグのMVP候補ロナルド・アクーニャ、ムーキー・ベッツはじめ、クリスチャン・イエリッチ、カイル・シュワバー、アドリー・ラッチマンなどである。2番打者はフレディ・フリーマン、アーロン・ジャッジ、コーリー・シーガー、ポール・ゴールドシュミット、フリオ・ロドリゲスだ。エンゼルスについては大谷翔平とマイク・トラウトのどちらかが2番を打っている。

 結果23年はとうとう、1920年以降では初めて2番打者が最も高いOPS(・787)を弾き出し、3番(・774)、4番(・770)を上回っている。1番打者のOPSも・768で、3番、4番に迫っている。もっとも本当にこうなったのはつい最近のことだ。

 球界の打順に対する考え方は長い間不変で、例えば08年は、2番打者のOPSは1番打者から6番打者の間で一番低い・742だった。3番打者より2・5%打席が回る機会が多く、6番打者より10%多いのにもかかわらず、非力な打者を置くチームが少なくなかった。米国の野球サイト「ハードボールタイムス」は「メジャーの監督は長い間、2番打者の起用で間違った判断をしてきた。稀に一番良い打者が2番に置かれたこともあったが、それはフランク・ロビンソン、エディ・マシューズ、アレックス・ロドリゲスのような打者のキャリアの最初の方で、2番に置かれただけのこと。彼らはその後、3、4番を打つようになった」と指摘している。1993年から2012年、1番打者のOPSは全打者の平均より2%低く、2番打者も1%低かった。

 一方で3番打者は26%、4番打者は25%高かった。3番、4番が一番大事な打順だった。それが変わったのは13年がきっかけだ。オリオールズのマニー・マチャド、ブルージェイズのホセ・バティスタ、エンゼルスのトラウトが2番で起用され、パワフルな打撃を見せた。そして14年のトラウトは36本塁打、111打点の活躍で満票でMVPに選ばれた。エンゼルスは得点数でも30球団中1位だった。14年は、まだ9番打者以外では2番打者の犠打数が一番多かったが、もちろんトラウトの犠打はゼロだった。13年、1番打者のOPSは平均より5%上、2番は平均より10%上、3番は平均より20%上、4番は平均より14%上と変っていた。1・2番と3・4番のギャップは少なくなっている。そして21年は1番打者のOPSは平均より7%上、2番は平均より14%上、3番は平均より15%上、4番は平均より10%上となっている。

 21年、46本塁打、百打点の大谷は2番打者で117試合に出場した。その次は1番打者の23試合、3番打者は6試合だった。長年メジャーの最強の打者はベーブ・ルース、ケン・グリフィーJR、ウィリー・メイズ、アルバート・プホルスなど3番を打つのが普通だった。初回から走者を置いて、強打者が打席に入るイメージだ。しかしながら現実には2死走者なしで打順が回ってくることの方が多かった。それではもったいない。ちなみに今季の大谷は1番で5試合に出てOPSは1・378、2番で71試合でOPSは1・207。3番は59試合でOPSは・875となっている。

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