担当記者が迫る大谷翔平の今後 二刀流はまだまだ見たいが「当たり前ではない」

[ 2023年8月27日 08:00 ]

大谷翔平
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 「Don’t take it for granted」(当たり前だと思わないでほしい)。エンゼルスのジョー・マドン前監督が大谷の二刀流について口酸っぱく話していた言葉を今、かみしめている。

 日本ハム時代から担当10年目。大谷の二刀流が当たり前だと思ったことはこれまで一度もない。だが、本当にそうだったのだろうか。23日(日本時間24日)の登板後に右肘じん帯損傷が判明した直後、驚きより、まず悔しさが込み上げた。防ぐことはできなかったのか。前兆はあったはずだ。管理体制はどうだったのか。過去の検証や原因を探してばかりしている自分に気が付いた。

 違うだろう。大谷はその時、その時でベストの判断を下し、力を尽くしただけだ。休養を十分に空けていたとしても、同様のケガをした可能性はある。これは決してきれいごとではない。先発ローテーションで回りながら、DHで出場し続けるという二刀流とはそれほど過酷であり得ないことなのだ。休養日なしの二刀流が本格スタートした21年から2年5カ月。これまで奇跡に近いものを見ていたと言っても過言ではない。

 今、鮮明に思い出す。20年シーズン終了後の本紙単独インタビューで「二刀流は何歳までやりたい?」と尋ねた時のことだ。大谷は「うーん…」と考えた後に胸中を明かした。

 「いけるところまでやりたいなと、もちろん思っています。例えばもう一回ケガをして、年齢的なものを考えて打つ方に専念した方が選手としてもチームとしてもいいのかな、と思う時期が来るのかもしれない。最後まで健康にどちらもやって、ただ単に実力がなくて引退するっていう時がくるのかもしれない」

 今回、その「例えばもう一回ケガをして」のタイミングが来てしまった。そして、年齢も来年で節目の30歳を迎える。今は考えが変わっている可能性はあるが、じん帯再建手術(通称トミー・ジョン)を行えば来年は投手として投げられない。投打両方の本格復帰は31歳を迎える25年シーズンとなる。大谷はどんな決断を下すのか。二刀流はまだまだ見てみたいが、決して当たり前ではない。(記者コラム・柳原 直之)

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