【虎番キャップの目】岡田野球に“恐怖の8番”あり 木浪が回す打順の歯車

[ 2023年8月17日 06:30 ]

セ・リーグ   阪神5―3広島 ( 2023年8月16日    マツダ )

<広・神>2回、適時打を放った木浪はベンチに向かってポーズ(撮影・岡田 丈靖)
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 【虎番キャップの目】岡田監督は8番打者を重視している。木浪が大半の試合で先発を務め、打って、送って、選んで、と重要な役割を果たす。その結果、試合前の時点でチームの先発8番の打撃成績は打率・291、出塁率・345、犠打17のいずれもリーグトップだ。

 8番が簡単にアウトにならなければ当然、投手の9番でチェンジになっても、次のイニングは1番から攻撃が始まる。投手が送って、「2死二塁で近本勝負」の手も何度も見てきた。木浪が打順の歯車を回しているからこそ、好打者の近本、中野が多く打席に立つことができ、リーグ最多のチーム得点を生んでいる。

 第1次政権の05年も8番がいい数字を残して優勝した。指揮官が「基本的に二塁手を入れていたやろ」と記憶をたどったように、関本、藤本を軸にして捕手の矢野、遊撃の鳥谷が務めた。その結果、8番は打率・268で、犠打こそ6個と少なかったが、・360の高い出塁率で打線の巡りが良く、リーグ最多のチーム731得点を誇った。

 シーズン序盤、木浪の調子がどれだけ良くても、8番を動かさなかった。手探り段階の時期に打順をコロコロ変えるのは得策ではないとして固定したことが、“恐怖の8番”の確立につながった。「木浪は結果的に打ってるけどな」と語り、あくまで8番は“守備の人”と位置付けるものの、18年前と同じ「高い出塁率」が攻撃のアクセントになった事実は変わらない。選手の力量を見抜く確かな目とぶれない信念が、37試合を残しながらの早いマジック点灯につながった。 (倉世古 洋平)

 〇…1点を追う2回1死二、三塁で木浪は左前へ同点適時打を放った。「先制された後だったので、まずは何とか追いつきたいと思っていた。みんながつないでくれたし、自分も後ろにつなぐ気持ちだった」。2死後には近本と中野も適時打で続いた。マジック点灯にも「自分のやることは変わらない。しっかり準備して戦うだけ」と平常心を強調した。

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