【甲子園】日大三の4番・針金の父、義雄さん 三木監督と高校時代バッテリー 息子を静かに見守る

[ 2023年8月15日 05:05 ]

第105回全国高校野球選手権記念大会第9日2回戦   日大三3―1鳥栖工 ( 2023年8月14日    甲子園 )

<日大三・鳥栖工>7回無死一塁、日大三・針金は二塁打を放つ(撮影・須田 麻祐子) 
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 【声援よ君に届け】<日大三・針金の父、義雄さん>アルプス席から送った父の声は、息子までしっかり届いていた。日大三の4番・針金侑良(ゆら=3年)と父・義雄さん(49=会社員)。台風7号の影響による強風にも、かき消されることはない。

 「もっとためろ。自信持っていけ!」

 初めて4番に入った力みからか、初回から3打席凡退。「打ちたいって気負ってる」。そう感じた義雄さんは、左翼の守備に就く息子に大きな声を飛ばした。「聞こえました。いつもスタンドから声をかけてくれるんです」。直後の7回だ。息子の一打が右翼線を抜けていった。

 「本当に感慨深いです。自分たちが出られなかった場所に、せがれが出場して、同級生が監督なんですから」。義雄さんは三木監督と日大三時代にバッテリーを組んだ仲だ。「三木は物凄い強肩の捕手で攻守の中心。そして真面目な男でした」。高2秋の都大会は準決勝で堀越にサヨナラ負けして翌春選抜にあと一歩及ばず、義雄さんが背番号10の2番手投手だった高3夏の西東京大会は準々決勝敗退。甲子園には届かなかった。

 息子の入学時には保護者と指導者の立場を考え多くは語らず、当時部長だった三木監督に「お願いします」とだけ伝えた。甲子園を決めた時も「我慢して使ってくれてありがとう」と短くLINE。「野球だけでなく、人間性も育ててほしい」と静かに見守ってきた。

 父と子と同級生。アルプス席とベンチとグラウンドを結ぶ日大三の夏はまだ続く。(秋村 誠人)

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