【甲子園】神村学園 初めての夏2勝!!好リリーフの黒木「絶対に抑えてやる気持ちだった」

[ 2023年8月15日 05:00 ]

第105回全国高校野球選手権記念大会第9日・2回戦   神村学園11―1市和歌山 ( 2023年8月14日    甲子園 )

<市和歌山・神村学園>8回1死一塁、併殺でピンチを切り抜け、笑顔でグラブを叩く神村学園・黒木(撮影・北條 貴史)
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 2回戦3試合が行われベスト16が出そろった。神村学園(鹿児島)は市和歌山に11―1で快勝し、夏は初の2勝を挙げた。初回2死満塁から救援した黒木陽琉(くろぎ・はる)投手(3年)が8回4安打1失点の好救援で貢献した。鹿児島県勢の2勝は2008年の鹿児島実以来15年ぶり。両県の対戦成績は春夏合わせて鹿児島勢が9勝1分けとした。 

 心の準備はできていた。神村学園が3点リードの初回2死満塁の守り。先発の2年生左腕・今村拓未が3四死球と乱れたところで、黒木は救援。「(試合前に)初回から、もしかしたらあるかも知れないと言われていた。絶対に抑えてやる気持ちだった」と燃えた。スライダーで三振に取ると、黒木もベンチの小田大介監督も喜びを爆発させるほど、大きな分岐点になった。

 2回以降も味方の援護を背に力投。140キロ前後の直球と、低めへのスライダーが効果的だった。6回の右犠飛の1点だけに抑え、8奪三振。4回2死二、三塁もしのぎ「ピンチの場面でギアを入れて三振を取れたのがよかった」と喜んだ。

 アルプス席から見つめた母・咲子さんに贈る感謝の勝利だ。家庭の事情により女手一つで育てられてきた。毎週のように自宅のある宮崎県延岡市から車で約4時間かけてグラウンドに駆けつけ、チームメートの保護者とともに、食事をつくるなどのサポートしてくれる存在。先月30日が誕生日だった咲子さんへ、鹿児島大会決勝を前に息子から着信があった。「誕生日プレゼントは甲子園出場でお願い」とおねだりし、「もちろん!」という頼もしい返事があった。決勝後には歓喜のハグ。甲子園へのエールを送ると「任せて」と返された。黒木は「母には感謝の気持ちしかない。甲子園でしっかり恩返しができるように。結果で頑張ろうと思います」と、さらなる活躍へ力を込めた。

 1年の6月から投げすぎによる左肘の疲労骨折など、ケガにも苦しんできた。2年春に復帰したが、昨秋の鹿児島大会、九州大会はメンバー外。今夏につかんだ背番号10。自己最速は146キロとエース級だが小田監督は「エースナンバーをつけたら満足してしまう。まだ成長できる。今後の人生でエースを取れ」と伝えている。好救援に「心の面が成長した」と目を細めた。

 春は初出場の05年に準優勝があるが、夏2勝は同校史上初だ。17日の3回戦に向け「自分がしっかり抑える気持ちで頑張りたい」と黒木。歴史を塗り替える夏はまだまだ終わらない。
(杉浦 友樹)

 〇…打線は9安打11得点と2試合連続の2桁得点で快勝した。初回に1死二塁から3番・秋元悠汰(3年)の左翼への二塁打などで3点を先制すると、3回には連続押し出しで加点。4点差に迫られた7回は主将の今岡歩夢(3年)がこの試合自身初の安打を中前に放って口火を切り、打者9人で5点を挙げた。今岡歩主将は「自分が絶対に出ようという気持ちだった」と胸を張った。初の夏2勝にも「日本一を達成するまでには満足することはないと思います」と気を引き締めていた。

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