【甲子園】智弁学園 「前川右京2世」松本が一発含む4安打 149キロ右腕・森煌攻略の「先陣」切った

[ 2023年8月14日 04:45 ]

第105回全国高校野球選手権記念大会第8日2回戦   智弁学園12ー6徳島商 ( 2023年8月13日    甲子園 )

<徳島商・智弁学園>9回 1死 バックスクリーンに本塁打を放った智弁学園・松本
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 智弁学園が大会屈指の剛腕、徳島商・森煌を打ち砕いた。その先頭に立ったのは超攻撃的1番・松本大輝だ。

 初回の第1打席で遊撃内野安打を放ち、波に乗った。3点を追う3回は無死一塁から右前打を放ち、4連打3得点のつなぎ役を演じた。6回は無死一塁から二塁内野安打で4得点を呼んだ。そして9回1死では高校通算32号の中越えソロ。「点を入れるなら、長打だと思っていた」。4安打1打点と打線の中核を担ってみせた。

 2学年上の先輩・前川右京(阪神)を師と仰ぐ。21年夏の甲子園で前川が2回戦・横浜戦で放ったバックスクリーン左への本塁打を松本はボールボーイとして眺めた。「いつか自分も前川さんのようになりたいと思ってやってきた」。2年後、同じ夏の甲子園2回戦で放った本塁打はバックスクリーンへ。「まだまだ届かない存在。でも、今日少し近づけたかな」。“師匠”がかなえられなかった全国制覇を果たすため、弟分は打ち続ける。

 切り込み隊長にけん引された打線は18安打12得点。最速149キロの森煌対策が効果を発揮した。練習ではマシン速度を150キロ超に設定。目を慣らし、森煌の速球を捉えるイメージを描いて試合に臨んだ。特に3回は「変化球は捨てて、初球を狙う」を徹底。回の先頭の9番・西川煌太から3番・中山優月まで全員が初球打ちで4連打し、一挙3得点。小坂将商監督は「ビデオを見てもコントロールがよかったので。初球打ちはサインを出して、積極的にいってよかった」とうなずいた。

 準優勝の21年に続き出場2大会連続の3回戦進出。高校通算140本塁打の佐々木麟太郎擁する花巻東にも、打ち勝ってみせる。
 (松本 航亮)

 ◇松本 大輝(まつもと・だいき)2005(平17)年10月31日生まれ、奈良県奈良市出身の17歳。小学1年に奈良ジュニアファイターズで野球を始める。中学では奈良西シニアに所属。智弁学園では1年春から背番号16でベンチ入りし、同秋から背番号8。50メートル走6秒2、遠投100メートル。1メートル81、90キロ。右投げ左打ち。

 ○…「3番・遊撃」で先発出場した中山優月が投打に躍動した。投げては0―3の初回1死一、二塁から救援し、ほぼ完投の8回2/3を投げて3失点(自責0)。「肩はできていた。どれだけ早くても投げられる準備はしているので」と頼もしく振り返った。また、打っても0―3の3回無死満塁で「真っすぐを待って、甘く入ってきたら振ろう」と初球を打ち砕き、2点打を放って逆転の口火を切った。勝利の原動力となった投打二刀流は花巻東との3回戦へ向け、「引いたらのみ込まれる。自分たちの野球をやりたい」と意欲を示した。

 ◯…智弁学園は徳島商戦で7失策を記録しながら勝利。チーム1試合7失策は15年1回戦で智弁和歌山(和歌山)が津商(三重)戦で記録して以来8年ぶり。チーム1試合7失策以上を犯しながら勝利したのは、47年2回戦で7失策の高岡商(富山)が9―8で福岡中(岩手)を下して以来76年ぶりの珍事となった。

 ◯…智弁学園が徳島商に勝ち、夏通算28勝目を挙げて歴代19位タイに浮上。小坂将商監督は甲子園通算24勝目を挙げ、歴代30位タイに浮上。奈良勢は春夏通算150勝目。

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