【甲子園】履正社・森田 同校初の甲子園2戦連発 次戦は仙台育英との大一番「好投手が多いけど…」

[ 2023年8月14日 04:15 ]

第105回全国高校野球選手権記念大会第8日2回戦   履正社10ー4高知中央 ( 2023年8月13日    甲子園 )

<履正社・高知中央>3回 1死 左中間に本塁打を放った履正社・森田
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 履正社(大阪)は高知中央(高知)を10―4で下して3回戦に進出した。「4番・三塁」の森田大翔(はると=3年)が甲子園では同校初となる2試合連続本塁打で大勝に導いた。

 今、まさに覚醒中だ。2―0の3回1死無走者。履正社の4番・森田は、2ボールからの高め直球を左中間席へ運んだ。「打った瞬間、入ったと思いました」。高校通算34号となる貴重なソロ。山田哲人(ヤクルト)や井上広大(阪神)も達成できなかった同校初の2戦連発となった。

 手がつけられなくなってきた。初回1死一、二塁では右中間へ先制二塁打。4―0の4回1死二塁では、試合序盤ながら申告敬遠もされた。「そこまで警戒しなくて、ええのに…」と苦笑いも、相手が最大級に警戒するのも無理はない。2年秋から今夏までの1年足らずで28発を量産し、今夏は9戦5発。「状態がいいから積極的に振れている」

 なぜ、本塁打を量産し始めたのか。鍵の一つは、課題の克服にある。今春選抜後に不振に陥った。ここでやみくもに振り込むことなく、ストレッチなどで体の柔軟性を高めることに時間を割いた。天性の飛距離を持つ一方で、変化球への対応を苦手とした。「どの球にも対応するには、体の可動域を広げないといけない」。起床後や昼休みに柔軟などで体を伸ばし続けると、おのずと飛距離も伸びた。体を自由自在に動かせるようになり、対応力が上がったからだ。

 もう一つの鍵は、打撃フォームの改良。スイング軌道を「アッパー気味」から球の軌道に合わせる「レベルスイング」に修正した。鈴木誠也(カブス)を手本とし、通学中も打撃映像を確認した。その結果、「上体がつっこまず、回転軸ができるようになった」と肉体と技術の両面がうまくかみ合わさった。

 今春選抜では高知相手に初戦敗退したが、夏に高知勢への雪辱は果たした。次戦の3回戦では、昨夏覇者の優勝候補・仙台育英との大一番に臨む。「好投手が多いけど、変わらずに準備してベストを尽くします」。新たな注目選手が生まれる夏の甲子園。その1人に森田が名乗りを上げた。 (河合 洋介)

 <記者フリートーク>

  履正社・森田は、打撃の土台を妹との会話の中で見つけた。たとえば不振に陥った時は、中学までバスケットボールを続けていた2歳下の志宝(しほ)さんに「調子悪い時、どうしてたん?」と尋ねたりする。話を聞いてもらい、頭の中を整理していくのだ。

 体の連動性のことは何度も聞いた。長女は「下半身の動きが大事やと思う」と的確に答えてくれた。志宝さんは決して身長が高くない。それでも力強いシュートを打つために、たどり着いたのが下半身の力を正しく伝えることの重要性だった。森田は深くうなずき、打撃に取り入れた。

 森田は2戦連発を決めた試合後に答えた。「僕の打撃の武器は、下半身をうまく使うことです」。お兄ちゃんは、妹が教えてくれた打撃のヒントをずっと大事にしている。(アマ野球担当・河合 洋介)

 ◇森田 大翔(もりた・はると)2005(平17)年4月17日生まれ、大阪府豊中市出身の18歳。小学2年に豊島パワーズで野球を始め遊撃手。小学6年時にはオリックスジュニアに選出される。中学では豊中シニアに所属。履正社では1年秋に背番号15でベンチ入りし、2年秋に背番号5。50メートル走6秒4、遠投100メートル。1メートル79、70キロ。右投げ右打ち。

  ◯…履正社・森田が高知中央戦で2試合連続本塁打。夏の甲子園での連続試合本塁打記録は3試合連続で、79年浪商(現大体大浪商=大阪)の香川伸行、85年PL学園(同)の清原和博、17年広陵(広島)の中村奨成(現広島)ら8人。森田が次戦も本塁打なら、中村以来6年ぶり史上9人目のタイ記録になる。

  ◯…履正社が2回戦を突破し、優勝した19年から夏の甲子園8連勝(20年夏の交流試合除く)。大阪勢の夏の甲子園最長連勝は78年~84年のPL学園16連勝で、以下、85年~95年のPL学園14連勝、08年~13年の大阪桐蔭13連勝、61年~79年の浪商(現大体大浪商)9連勝と続き、今回の履正社は14年~17年の大阪桐蔭8連勝に並ぶ歴代5位タイ。ちなみに17年の大阪桐蔭は3回戦で仙台育英に9連勝を阻まれたが履正社はどうか。

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