西武・松井監督 離塁は「早いと思った」も「映像がない以上は…」検証不可能サヨナラ負け ルールは?

[ 2023年8月12日 22:24 ]

パ・リーグ   西武2-3ロッテ ( 2023年8月12日    ZOZOマリン )

<ロ・西>サヨナラ負けに肩を落として引き揚げる松井監督(撮影・尾崎 有希)
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 西武がすっきりしない形でサヨナラ負けを喫した。

 2-1で迎えた9回。しかし、守護神・増田がヒット3本を浴びて同点に追いつかれ、なお1死二、三塁とサヨナラの大ピンチ。打者・荻野が中堅に飛球を打ち上げ、西武の中堅手・長谷川がキャッチ。懸命の本塁送球も大きく三塁方向にそれ、タッチアップした三走・岡と捕手・古市が激しく交錯。岡は生還し、ロッテナインは荻野を中心に歓喜の輪を作った。

 しかし西武は三塁走者の離塁が、中堅手の捕球よりも早かったとしてリクエスト。審判団はリプレー検証に入った。

 約3分間の検証後、責任審判の本田主審は「リプレー映像がありませんので、判定通り得点とします」と場内放送で説明。そのままロッテのサヨナラ勝利となった。

 松井監督は「当然、その映像がない以上は…。僕らは(離塁が)早いと思っただけですから、最後までの可能性を…。こちら側もね、見てできるということですのでリクエストしました。見て感じる、だからこそリクエスト出したわけですから。当然ね、サードランナーのスタートを撮ったところのない映像がない。そういうところですから。そこはもちろん、最後の最後まで可能性を探っただけです」とサバサバとした口調で振り返った。西武ベンチは三塁側。まさに目の前で見た離塁だったが、映像がないことを責めはしなかった。

 プロ野球のルールを定めた、今年度の「パシフィック・リーグ アグリーメント」によれば、18年から導入されたリクエスト制度のリプレー検証に用いる映像は「原則、当該試合のテレビ中継映像とする」(別紙21-2)とされ、「確証のある映像がない場合は審判団の判断とする」(同3)としている。

 なお、米国のMLBは先んじて14年から「チャレンジ」と呼ぶビデオ判定制度を導入している。全30球場に、中継とは別に10台以上のカメラを設置し、その映像を逐一、ニューヨークにあるオペレーション・センターに送っている。

 「チャレンジ」が行われると、このオペレーション・センターに詰めるビデオ判定員が映像を確認して判定し、球場の審判に伝える。このビデオ判定員も本職の審判員だ。メジャーの中継で、審判がヘッドホンを着け、チャレンジの結果を伝えるシーンはおなじみだが、これはニューヨークのビデオ判定員と交信している。これらのシステムの構築にMLBは30億円近い投資を行ったとされる。日本でも同様のシステムを作れば、今回の西武のような悲劇はなくなるかもしれないが、金銭的にはなかなか厳しそうだ。

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