ベンチ入り全員でつかんだ白星 地味に見えても阪神の今の強さはここにある

[ 2023年8月12日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神2-1ヤクルト ( 2023年8月11日    京セラD )

<神・ヤ> 5番手で登板した馬場(撮影・大森 寛明)
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 【畑野理之の談々畑】糸原健斗が8回裏1死一塁から代打で右中間へ決勝の二塁打。木浪聖也の本塁へのヘッドスライディングもカッコよかった。直前の8回表の守りでは2番手の島本浩也から岡留英貴、及川雅貴、馬場皐輔へと左→右→左→右の計4投手で2死満塁を脱出した。

 ベンチ入り全員でつかんだ白星だった。今の阪神の強さがここに表れていると思う。誰か一人の爆発だけで勝っているわけではない。リリーフ陣も、代打陣も、守備固めも代走要員も一丸になった結晶の8連勝だ。

 先発した村上頌樹が7回1失点。8勝目はならなかったが、防御率2・02は再びリーグトップに躍り出た。しかし投打の主要タイトルで現時点で最上位にいるのは、この村上の防御率だけというのが今季の戦い方を象徴している。

 近本光司の18盗塁、大山悠輔の68四球と6犠飛、木浪聖也の17犠打がリーグトップ。一つ一つを見れば少し地味に映るかもしれないが、四球で出塁して、犠打で送って、走者を進めて、犠飛でもなんでも得点を重ねてきた結果がリーグ最多のチーム総得点(392)になっている。そして失点(309)も同最少。今の貯金20、首位独走がある。

 打者なら首位打者、打点王、本塁打王、最多安打…。投手は勝利数、防御率、奪三振、勝率…。ちなみに2リーグ制以降、リーグ優勝したチームから投打の主要タイトル獲得者なしは、1968年の阪急と73年の南海の2例のみしかない。セ・リーグでは例がないが、果たして今年の阪神は村上しだいだろう。

 岡田彰布監督が指揮した前回05年のリーグ優勝時はタイトルホルダーがたくさんいた。今岡誠が打点王(147)、赤星憲広が盗塁王(60)、下柳剛が最多勝(15)、安藤優也が勝率1位(・688)、藤川球児が最優秀中継ぎ投手(53HP)…。タイトルではないが、4番・金本知憲は40本塁打を放ち、JFKという必勝パターンもあった。

 15年ぶりにタクトをふるっている今年はまた違った充実感なのだろう。未完成のチームの先頭に立ち、実績のない選手を適材適所で送り出し、いっしょになって勝利を喜ぶシーンが印象的。05年にも劣らない勢いを感じているようにみえる。

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