【甲子園】慶応・加藤 腹痛に勝った2安打2打点 吐いて途中交代も回復 県大会で食中毒…点滴打ち出場

[ 2023年8月12日 05:00 ]

第105回全国高校野球選手権記念大会第6日2回戦   慶応9―4北陸 ( 2023年8月11日    甲子園 )

<慶応・北陸>先制打を放ち吠える慶応・加藤(撮影・亀井 直樹)
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 2回戦4試合が行われた。慶応(神奈川)は4番の加藤右悟(ゆうご)外野手(2年)が、腹痛に襲われながらも先制打を含む2安打2打点。12安打の打線を引っ張り、9―4で北陸(福井)を下した。沖縄尚学は東恩納蒼(あおい)投手(3年)が8安打完封勝利。今夏公式戦の無失点を40回1/3に伸ばし、3―0でいなべ総合学園(三重)を破った。広陵(広島)、文星芸大付(栃木)も3回戦に進出した。

 不安で泣きそうになっていた姿は、どこにもなかった。今春の選抜前「不調で、野球人生で一番どうすればいいか分かりません」と漏らしていた加藤。先制打を含む2安打2打点と存在感を発揮し「自分のスイングがしっかりとでき、結果も出て良かった」と自然と笑みがこぼれた。

 大活躍の裏で、腹痛と闘っていた。「スタメンで緊張しちゃって…」。選抜は調子が上がらず代打出場だったが、今大会は「4番・右翼」で先発。球場入りし今大会最多の4万人の大観衆を目にすると、腹痛は悪化する一方だった。

 吐き気と痛みに耐えながら立った初回2死三塁の好機。内角直球を振り抜き先制打を左前に運んだ。4回無死一塁では6点目となる左翼線適時二塁打。おなかは限界で「もう吐いてしまって駄目でした」と6回の守備から交代し、8回終了までベンチ裏の部屋で休んだ。アクシデント続きだった。神奈川大会5回戦前に食中毒になり、点滴を受けながらその後の試合に臨み、準々決勝で本塁打。手負いの状況での勝負強さをこの日も発揮した。勝利の瞬間までに回復して「(甲子園で)初めて塾歌も歌えたのでうれしかったです」と安堵(あんど)の表情を浮かべ、「本当は万全で戦いたいですけどね」と苦笑いした。

 今春の選抜では、初戦で仙台育英(宮城)に1―2で敗れた。150キロトリオの強力投手陣に封じられた悔しさを胸に、強化してきた打線が12安打9得点。神奈川県勢夏通算130勝目もつかみ、森林貴彦監督は「仙台育英との敗戦があったからこその打撃力だと思う。日々、成長していると思います」と手応えを口にする。
 夏は18年以来5年ぶり勝利で、3回戦の相手は選抜4強の広陵。「次も自分の打撃に徹したい」。痛みにも勝負にも強い4番・加藤が、目標の「KEIO日本一」へ突き進む。(村井 樹)

 ◇加藤 右悟(かとう・ゆうご)2006年(平18)5月10日生まれ、栃木県出身の17歳。宝木ファイターズで小1から野球を始める。陽西中時代は県央宇都宮ボーイズに所属し3年春に全国制覇を経験。慶応では1年秋から4番を任され高校通算本塁打は17本。趣味は勉強。50メートル走6秒5、遠投100メートル。1メートル75、75キロ。右投げ右打ち。

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