エンゼルス・大谷 やめたかったルースと違う二刀流6年目の分岐点 こだわり続け40本塁打&10勝

[ 2023年8月11日 02:30 ]

インターリーグ   エンゼルス4ー1ジャイアンツ ( 2023年8月9日    アナハイム )

ルースと大谷の比較表
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 ベーブ・ルースは「元祖二刀流」と言われる。しかし、メジャー最初の4年間は投手に比重を置いており、本格的な二刀流は史上初の「2桁勝利&2桁本塁打」を達成した18年からの2年間だけだ。分岐点となったのは、10勝にあと1及ばなかった翌19年。一方、エンゼルスの大谷は同じ6年目に2年連続の偉業を達成した。そこには二刀流に関する両者のスタンスの違いがある。

 米メディアでは、今年あたりから「大谷とルースの比較はもう終わりにしよう」という論調が主流になっている。理由の一つは、大谷の2022年と23年が、ルースの1918年と19年の数字を完全に上回ったこと。もう一つは、二刀流を追求してきた大谷と、投手から打者への移行期だったルースでは心構えからして違うからだ。

 ボストン在住の野球歴史家、グレン・スタウト氏が言う。「レッドソックスはルースの打撃を信用していなかった。当時は飛ばないボール。単打で出塁することが求められ、一番いけないのは三振。18年のルースは本塁打王であり、三振王でもあった」。ルースは邪道扱いされても、フルスイングを貫いた。背中を押したのは、評判を聞きつけ、球場に駆け付けた野球ファンの熱狂的な声援だった。

 「19年、レ軍首脳陣はルースにもっと投げてほしいのに投げたがらない。勝手に休みを取って、お金をもらって他のエキシビションゲームに出たりした」と同氏。その年、投手で先発したのは15試合で、9勝に終わった。打席数は大幅に増え、29本塁打を放った。同年オフ、トレードでヤンキースに移籍。ヤ軍はルースの打撃に価値を見いだした。20年から打者に専念すると、いきなり54本塁打。豪快なスイングで野球界に革命を起こした。

 一方、大谷は近代野球では不可能と言われた「二刀流」にこだわり続ける。今季欠場はわずか2試合。近い将来、本塁打王とサイ・ヤング賞のダブル受賞も決して夢ではない。かつてのルースのように、大谷のようになりたいという次の世代の選手たちが増えている。ルースとは違う形で、次代への扉を開けたと言える。(奥田秀樹通信員)

 ≪現地でも熱狂 著名人ら賛辞≫大谷は歴史に名を刻む選手として人気が高まり、米国社会から賛辞と関心を集めている。7月に観戦に訪れた人気女性歌手のグウェン・ステファニー(53)は大谷の本塁打に跳びはねて喜ぶ姿をSNSに投稿。24年の大統領選で共和党候補の指名を争うフロリダのロン・デサンティス州知事(44)も「どうやったらこんなことが可能なんだ。過去100年このレベルで両立できた人はいない」と熱弁している。

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