ヤクルトのドラフト5位・北村 プロ初安打が満弾! 新人56年ぶり3人目 先制V犠飛含む6打点「最高」

[ 2023年8月10日 05:30 ]

セ・リーグ   ヤクルト11―5広島 ( 2023年8月9日    神宮 )

<ヤ・広>3回、北村が満塁ホームランを放つ(撮影・篠原岳夫)
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 ヤクルトのドラフト5位ルーキー・北村恵吾内野手(22)が9日、広島戦でプロ初安打となる1号満塁本塁打を放った。4―0の3回1死で、左翼席へ豪快弾。新人の初安打が満塁本塁打となるのは1967年の槌田誠(巨人)以来、56年ぶり史上3人目の快挙となった。2回のプロ初打点となる犠飛、5回の適時打と合わせ、2安打6打点と大爆発。13安打11得点の猛攻で、チームは3連勝を飾った。

 太く、りりしい眉毛からは男気が漂う。北村の中大時代からのあだ名は「ゴリ」。そんな風貌にぴったりの、豪快無比な一撃だった。3回1死満塁、初球の136キロのチェンジアップ。思い切り振り抜いた打球が、プロ1号の満塁本塁打となって左翼スタンドに吸い込まれる。2度目の先発出場で、7打席目でのプロ初安打がグランドスラム。新人では1967年槌田誠(巨人)以来、プロ野球56年ぶり3人目の快挙だ。

 「本当にうれしい。最高の結果。(56年ぶりは)実感はないけど、歴代の偉大な先輩に少しでも肩を並べられるよう結果を残していきたい」。2回1死三塁では先制の右犠飛を放ち、初安打の前に初打点をマーク。5回1死三塁での中前適時打と合わせて計6打点を挙げ、初安打、初打点、初V打、初本塁打を1日で記録した。まさに盆と正月が一緒にやってきた。

 「早く(安打を)1本出したいという気持ちは正直あったので…。ホッとした気持ちもあったけど、興奮して歓声を感じながら一周した。最高の気分」

 尊敬する先輩、ライバルに囲まれて北村は日々、切磋琢磨(せっさたくま)してきた。中大の2学年先輩の牧(DeNA)は師匠。2年間寮の相部屋で、時に怒られ、時に励まされ…。自身も大学時代、本塁打の際は「デスターシャ」のポーズを取るほど敬愛。「勝負強い打者で、牧さんのプレースタイルは理想像。いずれは追い越せるように」と、その大きな背中を追う。

 ライバルは中大同期で阪神のドラフト1位・森下。親友でもあり、毎日のように連絡を取り合う。森下は前日の巨人戦でも4号2ランを含む猛打賞。「昨日も連絡が来た。少しでも追いついて、負けないように頑張りたい」。チームでは19歳年上のベテラン青木にも臆せず、タイミングの取り方などのアドバイスをもらう。その青木は歴史的な一発を見届け「凄い。タイミングの取り方も上手。慣れてきたらもっと良くなる」と笑顔で喜んだ。

 「今日は90点ぐらい。全打席ヒットを打って、打点を挙げられるようになれば100点満点」。快挙とともに踏み出した大きな一歩。大学時代から慣れ親しんだ神宮の大歓声が、北村にはよく似合っていた。(鈴木 勝巳)

 ≪56年の米田、67年の槌田に次ぐ≫北村(ヤ)が初安打となる満塁弾。新人のプロ1号が満塁本塁打は、6月1日広島戦の茶野(オ)以来史上23人目、球団では50年3月24日巨人戦の土屋五郎(当時国鉄)、73年9月15日巨人戦の小田義人に次ぎ3人目。そのうち、プロ初安打が満塁弾は、56年4月11日高橋戦の米田哲也(阪急)、67年6月6日大洋戦の槌田誠(巨)に次ぎ56年ぶり3人目で球団初だ。また、新人の6打点は16年9月14日、日本ハム戦の吉田正尚(オ)以来、セでは同年8月25日DeNA戦の高山(神)以来。

 ◇北村恵吾 2000年(平12)12月18日生まれ、岐阜県大垣市出身の22歳。1メートル82、90キロ。右投げ右打ち。

 ☆球歴 北小2年から「大垣北クラブ」で野球を始め、北中では1年冬から「西濃ボーイズ」に所属。近江では1年春からベンチ入りし、同年夏に4番として甲子園出場。3年時は春夏連続出場し、夏は準々決勝で金足農(秋田)に敗れたが、打率・529、12打点。中大では4年春秋に東都リーグベストナイン受賞。

 ☆牧と同室 中大では2年先輩のDeNA・牧と寮の同部屋で2年間過ごし、「今までの先輩でぶっちぎりの存在。自分のアニキ」と尊敬。22年のドラフト指名後には20~30分、電話で話して激励を受けた。

 ☆相棒はプーさん 今年1月の入寮の際は「くまのプーさん」のぬいぐるみを持参。近江で寮生活を始める際に両親に贈られ「自分はダメな時、泣いている時もともに一夜を過ごした」。現在も一緒に寝ており「(ベッドの)隣にいます」。

 ☆趣味はボウリング 高校時代から始め、ベストスコアは246。

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