【甲子園】智弁学園・中山、サヨナラ呼んだ好救援 3番手で7回3失点「自分が降りたら負け」粘りの投球

[ 2023年8月8日 05:30 ]

第105回全国高校野球選手権記念大会 1回戦   智弁学園7―6英明 ( 2023年8月7日    甲子園 )

<智弁学園・英明>7回1死満塁、英明・平見を投ゴロ併殺に仕留め、ガッツポーズで雄たけびを上げる智弁学園・中山(撮影・北條 貴史)
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 外角のボール球に、体ごとぶつけるようにバットを出した。6―6の延長10回1死二、三塁、途中出場の智弁学園・谷口志琉(しりゅう)が投前に転がし、三塁走者が本塁へ滑り込んだ。「バントは練習を重ねてきて、自信があった。めちゃくちゃうれしいです」。背番号15の伏兵は、喜びを爆発させた。甲子園大会でタイブレークが導入された18年の選抜以降、スクイズによる決勝点は初めてだ。

 苦しかった。「取っては取られ」を繰り返し、5回の時点で4―6。英明のめまぐるしい左右ジグザグ継投にも幻惑された。8回に暴投、9回に押し出し四球で追いついて何とか延長戦に持ち込み、白星につなげた。

 重苦しい展開で踏ん張ったのは、遊撃手との二刀流をこなすエースの中山優月だ。4回から3番手で登板し、4―3の5回に3点を奪われ逆転を許したものの、以降の6イニングは無失点。相手の小刻みな継投とは裏腹に「こっちは自分が降りたら負け。タイブレークは1点もやらない」。10回無死一、二塁から打者3人を封じ、直後の歓喜をもたらした。

 能力の高さゆえ、1年時はチーム内で孤立することもあった。だが、昨秋の奈良大会準決勝で天理に1―4で敗れると「もう絶対に後悔する試合はしたくない」と決意。冬は週に3日、200球の投げ込みを行い、誰もが認めるエースに成長した。谷口は「中山の粘りの投球を見て、みんなが力をもらいました」とうなずいた。一丸となったナイン。それを象徴するような、粘り強くもぎ取った白星だった。(松本 航亮)

 ◇中山 優月(なかやま・ゆづき)2005年(平17)8月21日生まれ、兵庫県洲本市出身の17歳。小学3年に洲本ゴンターズで野球を始めて投手と遊撃手。中学はヤング淡路に所属。智弁学園では1年秋に背番号19でベンチ入りし、2年秋に背番号1。50メートル走6秒3、遠投115メートル。1メートル76、73キロ。右投げ左打ち。

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