広島好調の原動力!?アツい!キツい!スクワット応援を体験 4年ぶりに名物復活

[ 2023年8月8日 06:00 ]

チケットを購入してマツダスタジアムでスクワット応援を体験する神田記者
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 また勝手にやってみました!コロナ下で禁止されていた名物「スクワット応援」が4年ぶりに復活し、広島が首位阪神と2.5ゲーム差の2位で優勝争いをしている。立ったり座ったりを繰り返しながらコールする12球団で唯一の伝統応援は、強さの原動力なのか。広島出身で、幼少期に旧市民球場に通っていたプロ野球キャップの神田佑記者(40)が、3日にマツダスタジアムで行われた広島―DeNA戦で25年ぶりに体験して迫った。

 トホホ…こんなはずじゃなかった。太腿はパンパン、膝はプルプル震えている。9回までに106スクワットもした。さらに不運?なことに延長戦に突入。広島市民球場に通っていた子供の頃は全く疲れなかった。運動不足の40歳にはキツい…。もうグッタリだ。

 熱狂的ファンが集まる「パフォーマンス席」のチケットを購入。最初は、張り切っていた。15歳の時以来25年ぶりの応援参加だ。広島に住む弟に、西川の背番号63時代のユニホームとメガホンを借りた。夜でも30度近い気温と湿度で体力が削られる。汗でシャツもズボンも肌にまとわりついてくる。体温計で測ると36.5度の平熱が37.4度まで上昇。体から湯気が出そうだ。

 応援席全体が声を張り上げ、すさまじい熱気だった。音量計測アプリ「デシベルX」で測定すると最大103.4デシベル。「電車が通る時のガード下」相当の100デシベルを超えた。隣の人とも会話できない。

 途中でやめたくなったが、「仕事だ!」と気力で続けた。結局、延長12回スコアレスドロー。総スクワット数は「133」だった。

 巧打者にはスクワット応援の回数が増えることに気づいた。打席で粘り、球数を多く投げさせて、1打席の時間が長くなるからだ。この試合の最多は野間の計27回だった。本人に回数を伝えに行くと恨み節に聞こえたのか、「早く打った方がいいってことですか?」と冗談ぽく笑われた。

 かっ飛ばせコールや応援歌熱唱の後にスクワットは開始する。大体4球目の後ぐらいから始まる。打者が早々に凡退した打席はスクワット応援がない。野間は「2番打者ですし、何とか良いカウントをつくりたい。応援があると勢いが出る。本当にありがたい」とファンに感謝していた。

 0―0の投手戦だったが、乱打戦なら回数はもっと増えただろう…。自分で勝手にやっておいてゾッとする。秋山が「スクワット応援の時間が長いと、ファンの方も楽しいばっかりじゃないのでは?」と冷静に分析していた通りだった。

 相手投手はどう感じているのか?広島のチャンスでかさにかかって圧力をかけてくる。マツダスタジアム初登板だったDeNA・バウアーの答えは意外で面白かった。10回まで123球、無失点と好投し「応援のスタイルと盛り上がりがいい。力が出る」と面白がった。米国にないアメージングな応援。「逆に僕に力を出させたくないんだったら静かに座っているといい」と不敵な笑みを浮かべた。

 こんなことを言われたら、カープファンは「なんじゃと~!」と燃えるはず。小学生の頃は、カープが勝つと「宿題なし」になることがあった。負けると、機嫌が悪い先生がいて怖かった。広島県民の応援は本気だ。

 コロナ自粛中の20~22年は5位、4位、5位と低迷した。スクワットがキツいのはファンも一緒に戦っている証だ。応援とともに強い広島が帰ってきた。

 ≪新井監督 心待ち≫新井監督は声出し&スクワット応援の復活を心待ちにしていた。「コロナ前は相手チームの選手からマツダでやるのは凄く嫌だと聞いていた」と相手への脅威と捉えている。巨人・中川は4日の広島戦(マツダ)の9回に1点リードを守れず、逆転サヨナラ負け。応援の印象を「慣れてきたけど最初は圧倒された。“ウワ~”という感じだった」と明かした。

 ≪熱中症対策に「大雲海」≫マツダスタジアムの右翼側コンコースに今年5月、巨大ミストシャワー「大雲海」が登場した。真っ白な雲海の中に立っているような体験ができる。午後6時の試合開始直前、スタンドは「33.2度、湿度61%」だったが、ミスト内は「28.8度、湿度88%」と涼しく、熱中症対策になる。6月には「ジェットバルーン」も復活。7回の攻撃前に飛ばし、球場の空が真っ赤に染まっていた。

 ≪プロレス界では体づくりの基礎≫プロレス界では体づくりの基礎がスクワットだ。力道山にブラジルでスカウトされて帰国したアントニオ猪木は、練習初日にヒンズー・スクワットを500回やらされ、翌日は歩くのもやっとの状態。新弟子への最初のメニューとして1000回を課すこともあり、オカダ・カズチカは「マインドを鍛えるためのもの」としている。

 ▽スクワット応援 1993年に自然発生的に起こり、広島市民球場で定着したといわれる。90年代後半からビジター球場でも行われている。マツダスタジアムでは応援団のいる右翼にせり出した「カープパフォーマンスシート」を中心に行われている。「チャンステーマ」の演奏時や、個人応援歌がない選手の打席ではやらない。

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