仙台育英19点開幕「2回目の初優勝」へ浦和学院に大勝 湯田好投&東北勢初2者連発

[ 2023年8月7日 05:30 ]

第105回全国高校野球選手権記念大会 1回戦   仙台育英19-9浦和学院 ( 2023年8月6日    甲子園 )

<仙台育英・浦和学院>仙台育英先発の湯田(撮影・北條 貴史)
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 新型コロナウイルスの感染対策によるさまざまな規制が4年ぶりになくなった大会が開幕し、1回戦3試合が行われた。昨夏、東北勢初の優勝を果たした仙台育英(宮城)は、先発した湯田統真投手(3年)が東北勢初の2者連発となる右越えソロを放つなど、先発全員の19安打と打線が爆発し、19―9で浦和学院(埼玉)に大勝。打力が課題とされていたチームが「2回目の初優勝」へ向けて打ち勝って白星発進した。

 水野雄仁、桑田真澄、松坂大輔、そして大谷翔平――。時代を超えて「打てる投手」は高校野球ファンを熱狂させてきた。7―0の3回2死。左打席に入った「8番・投手」の湯田が聖地に快音を響かせ、浜風にも負けない「ビッグフライ」が右翼席に飛び込んだ。

 「ピッチャーでホームランを打ったら、そういうふう(大谷みたい)に言われるかなと。大谷選手は完封した後にもホームランを打つので“次元が違うな”と思いました」

 小さい頃、父・利行さんに言ったことがある。「甲子園でホームランを打ちたい」と。公式戦初本塁打、高校通算3号で夢を実現した。クールな右腕が豪快にガッツポーズ。投げては初回に「自分が流れを持ってこられるのは三振」と3つのアウト全てを空振り三振。世代最速の153キロ右腕は2回にも今大会最速の150キロで空振り三振を奪った。150キロを投げ、本塁打もかっ飛ばす。12年選抜の大阪桐蔭戦で見せた花巻東・大谷のパフォーマンスとかぶった。

 だが、開会式出席のため午前5時起きだったことも影響し、スタミナ切れで4回0/3を8安打4失点。それでも、大谷ばりの「二刀流」が勢いづけた打線は止まらず、19安打19得点で乱打戦を制した。

 高校野球史上、類を見ない「150キロトリオ」の鉄壁投手陣を擁し、ロースコアが予想された1回戦屈指の好カードが、両軍計37安打の打ち合い。浦和出身で「浦学ファン」という須江航監督も「こんな試合になるなんて0・0000001%も想定していなかった。“勝ちに不思議の勝ちあり”って本当にそれですね」と驚きを隠さなかった。両校の甲子園対決は3度目で、前回18年は就任1年目で0―9の完敗を喫したがやり返した。

 昨夏に東北勢初の甲子園大会優勝を果たした後、新チーム始動時にゼロから再び頂点を目指す「2回目の初優勝」を目標に掲げた。次戦の2回戦は昨夏の準決勝で18―4で下した聖光学院との東北対決。湯田は「引かずに受けずに、一戦必勝で勝ちたい」と頼もしい。激戦が終了したのは起床から15時間52分後。仙台育英の「凄く密」な一日が終わった。(柳内 遼平)

 ◇湯田 統真(ゆだ・とうま)2005年(平17)12月31日生まれ、福島県泉崎村出身の17歳。白河リトルで小4から野球を始める。中学時代は泉崎中軟式野球部に所属。父・利行さんは同校OBで98年選抜に出場。最速153キロ。50メートル走6秒5、遠投100メートル。1メートル81、86キロ。右投げ左打ち。

 ≪トリオそろい踏み≫「150キロトリオ」がそろい踏みした。最速151キロ右腕のエース高橋煌稀(3年)は5回無死一塁で2番手として救援。4回8安打5失点と苦しんだが「全国のレベルを改めて知れたのは良かった。勝たないと反省はできないので、次につなげられた」。9回は最速151キロ左腕・仁田陽翔(にた・はると=3年)が無失点で、3時間17分に及んだ熱戦を締めくくった。

 ≪2者連続本塁打は27度目≫夏の甲子園の2者連続本塁打は21年の京都国際以来、27度目で、東北勢では初めて。7番以下で記録したのは、83年PL学園の8番桑田→9番住田、17年天理の7番安原→8番山口に次ぎ3度目、先発バッテリーでは12年大阪桐蔭の沢田→森友以来。仙台育英は19年星稜戦で連続被弾しており、両方記録は明徳義塾に次ぎ2校目。

 ▼仙台育英・尾形樹人(3年、3回の2ラン含む3安打3打点)狙っていた高めのボール、まさか自分が本塁打を打てるとは。宮城大会からの良いスイングの形が出せた。

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