花巻東・麟太郎 「特別な思いある」夏の甲子園で無安打に終わった2年春の雪辱誓う

[ 2023年8月1日 05:00 ]

ホームベース付近を確認する花巻東・佐々木麟(撮影・後藤 正志)
Photo By スポニチ

 第105回全国高校野球選手権(6日開幕、甲子園)に出場する花巻東(岩手)の佐々木麟太郎内野手(3年)が31日、全49代表校のトップを切って甲子園見学に登場。ユニホーム姿で聖地の感触を確かめた。歴代最多の高校通算140本塁打を誇り、今秋のドラフト1位候補にも挙がるスラッガーは、甲子園初本塁打と、昨年の仙台育英(宮城)に続く東北勢としての頂点への思いを新たにした。

 涙を流してから495日ぶりに立った聖地。最高気温35度の猛暑の中でも、佐々木麟の顔は晴れやかだった。青い空と緑の芝生をまぶしそうに見つめ、左打席に立ってチームメートと会話をしながら外野を指さした。まるで予告ホームランのポーズ。141本目の一発を想像しているようだった。

 「イメージも大体湧きました。しっかりイメージを湧かせることができたので、短い時間でしたけど、本当に貴重な時間だった」

 2年春の選抜以来2度目の甲子園。22年3月23日、1回戦の市和歌山戦で敗れて大粒の涙を流して以来の目標の舞台に帰ってきた。今年からスタートした、出場校による甲子園見学の先陣を切って足を踏み入れた聖地。午後0時55分にグラウンドに入ると約20分、久々の感触を楽しんだ。一塁の守備位置、外野の芝生の確認も行ったが、今秋のドラフト1位候補に挙がるスラッガーはやはり打席の確認が大切だった。グラウンドに入ってすぐ左打席に立ち、一度外野まで行ってから再び打席に戻った。5、6度スイングする動作を繰り返し入念にチェック。「打席では春から思っていたが、外野フェンスが低いので、ボールが見やすいイメージがある」と本番での打席を思い描いた。

 2度目の甲子園は雪辱の舞台でもある。2年春は「胸郭出口症候群」で両肩を手術した影響で大会直前まで約3カ月、投手の球筋を見ることなくリハビリに専念した。試合でも4打数無安打で不完全燃焼。甲子園での本塁打と勝利への思いは強い。「小さい頃スタンドで夏の甲子園をよく見ていましたし、そういう意味では春よりも夏の方が自分にとっても特別な思いが凄くある。春より夏の方が思い入れは深い」と気持ちを新たにした。

 痛めていた背中も「良くなっている」と回復をアピール。「とにかくチームが勝つために身をていしてプレーしたい。それは3年間変わらない。いつも通りチームが勝つためにプレーをしたい」と最後の夏の大暴れを誓った。

 ▽佐々木麟の22年選抜 22年3月23日、市和歌山との1回戦に「3番・一塁」で出場。好投手・米田天翼に対し、初打席の初回無死一、二塁は高めボール球の140キロ直球に「手が出てしまった」と空振り三振。3回も直球を3度空振りして三振。5回は三飛、8回も直球に一ゴロ、9回は死球だった。チームは4点を追う9回に3得点して1点差に迫ったが敗戦。「自分がふがいない結果でチームに貢献できなかった。責任を強く感じています」と涙した。

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年8月1日のニュース