大垣日大・山田が完投&V打も試合後に号泣 甲子園を決めた主役が涙を流した理由

[ 2023年7月28日 18:28 ]

第105回全国高校野球選手権岐阜大会決勝   大垣日大4―3市岐阜商 ( 2023年7月28日    長良川 )

試合後 涙を流す大垣日大・山田渓太
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 最速143キロの大垣日大エース・山田渓太(3年)が「5番・投手」で先発し、9回7安打3失点。完投で5年ぶり6回目の甲子園出場を決めた。打っても2―2の8回2死満塁で左前に決勝2点適時打。

 「もう野球ができなくなってもいいという思いで投げました。打った打席は無我夢中で。気持ちだけでした」

 試合後は涙ながらに優勝を喜んだ。「今まで結果が出なくて辛かったことがこみ上げてきて」。

 山田は愛知県豊田市出身。親元を離れ、岐阜県・大垣日大を選んだ。寮生活のサポートをしてくれる両親に、なんとか恩返しをしたい。そんな思いとは裏腹に、秋の東海大会後、球速が125キロまで落ちた。

 「変化球の投げすぎでフォームを崩したんです。半年、球速が125キロのままで。自分の野球人生、もう終わるのかなって」

 今春の選抜でも状態が上がらず、8回4失点で沖縄尚学(沖縄)に3―4で敗れた。それでも、山田は諦めなかった。「恩を返すにはもう最後の夏しかなかった」。地道に下半身主導のフォームに改造。ついに今夏の大会1週間前、球速が140キロに乗った。

 そしてこの試合の9回2死二塁、最後の打者への初球に142キロを記録。5球目に空振り三振を奪って仲間と抱き合った。「自分がやってきたことは間違っていませんでした。支えてくれた人たちに、最高の結果で応えられた」と、涙で腫らした目を細めた。
   

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