慶応 9回逆転3ランで5年ぶり夏の甲子園 潮目変わった二ゴロ 渡辺千が値千金弾

[ 2023年7月27日 05:30 ]

第105回全国高校野球選手権神奈川大会決勝   慶応6―5横浜 ( 2023年7月26日    横浜 )

<慶応・横浜>逆転で横浜を破り、優勝を決め歓喜の慶応ナイン(撮影・会津 智海)
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 第105回全国高校野球選手権(8月6日開幕、甲子園)の出場校を決める地方大会は26日、17大会で33試合が行われた。神奈川大会では決勝が行われ、慶応が横浜を6―5で下して5年ぶり19度目の優勝。2点を追う9回1死二、三塁で渡辺千之亮外野手(3年)が値千金の逆転3ランを放ち、相手の大会3連覇の野望を打ち砕いた。

 甲子園には魔物が棲む、と言われる。強豪ひしめく神奈川大会の決勝。同じように1つのプレーで潮目が変わった。「まだ逆転のチャンスはある…」。そう信じた渡辺千が2点を追う9回1死二、三塁で打席に立ち、左翼席に起死回生の逆転3ラン。チームを5年ぶり19度目の頂点に導き「信じられない…」と感慨に浸った。

 劇的弾の少し前。無死一塁で大きなプレーが生まれた。二ゴロで「4―6―3」と渡り併殺崩れで一死一塁と思われたが、二塁塁審は「セーフ!」。横浜の遊撃手・緒方漣(3年)が二塁ベースを空過していたという判定だ。まさかの無死一、二塁。平日ながら2万7000人が来場したスタンドがどよめく。その後に生まれた渡辺千の一発。フルカウントからプロ注目の左腕・杉山遥希(3年)のチェンジアップをフルスイングで左翼席に運んだ。

 記念大会の北神奈川大会の優勝を除く神奈川1校の代表では61年ぶりとなる夏の聖地。大仕事を果たした渡辺千の名である「千之亮(せんのすけ)」には軍師・諸葛亮よりも「千倍かしこく」と願いが込められている。一発は歴史に名を残した天才軍師のような冷静さで初回に空振り三振したチェンジアップを狙ったもの。「甘いところを一発で締める」との狙いを実行した。

 判定も味方した形での大逆転に森林貴彦監督は「横浜高校さんのことを思うと、いろいろな思いがあります」と配慮。ただ、試合の流れを一気につかんで今春選抜に続く2季連続の甲子園出場を決めて「この夏、13連勝しなければ、日本一にたどり着けない」と神奈川代表のプライドを胸に甲子園でも頂点を目指す覚悟を示す。最後の夏を終えた神奈川166校の思いを胸に、最後まで勝ち続ける。(柳内 遼平)

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