エース中山が2安打完封で明豊が大分県初の夏3連覇 昨年秋に亡くなった吉川孝成さんに捧げる優勝

[ 2023年7月26日 20:31 ]

第105回全国高校野球選手権大分大会決勝   明豊3―0大分商 ( 2023年7月26日    別大興産スタジアム )

<明豊・大分商>3連覇を達成し、天に向けナンバー1のポーズをする明豊の中山
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 明豊が3―0で大分商に勝利し、3年連続9度目の夏の甲子園出場を決めた。大分県の夏の3連覇は史上初の快挙だった。

 立役者は先発した最速147キロ右腕の中山敬斗(ひろと)投手(3年)だった。「入りを気をつけた」という立ち上がりのピンチを抑えると、「思い切って腕を振ってゾーンで勝負をしよう」と危なげない投球を続けた。

 最速145キロを記録した直球とスライダーを武器に三塁を踏ませなかった。「真っすぐの調子も良かったですし、変化球のコントロールも全部が調子が良かった」と笑顔だった。

 今夏初めて背番号1をつかんだ右腕は、25日の練習中に決勝の先発を川崎絢平監督から伝えられ「最後まで一人で投げ抜け」と声をかけられた。中山は「自分もやってやろうと思いました。完封できて良かったです」と満点の投球で応えた。今大会の防御率は0・00だった。

 チームは昨年秋に当時2年生だった吉川孝成さんを不慮の事故で亡くした。中山は最後の打者をこの日7個目の三振で抑えると、澄み切った大分の青空を見て、天に向かって右手でナンバー1のポーズをした。「孝成ありがとう、孝成と甲子園に行きたかったので。ありがとうしかないです」と思いを語った。

 中山にとって入学後始めてボールを受けてくれたのが吉川さんだった。「おまえ、すごいボール投げるな」。奈良県からやってきた中山にとって、大きな自信をくれる言葉だった。今大会は帽子のつばに「孝成と共に」と記し、ピンチの場面では「孝成助けて」とパワーをもらったという。川崎監督は「今年は言葉にできない感情がある」と心境を語り、「甲子園でも見えない力とともに暴れてきたい」と誓った。

 奈良県から観戦に訪れた母の穂寿美さんが「ちっちゃい頃から負けず嫌い」と証言するハートの強さを持つ中山。完封した姿に母は「たくましくなったなぁ」と目を細めた。3年連続の甲子園。チームの夏の最高成績はベスト8だ。昨夏の甲子園では思うような投球ができなかった中山は「借りを返して、孝成とともに日本一になりたい」と力強く意気込んだ。

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