「あなたの父の校歌を一緒に…」山梨学院・中沢日瑚マネジャーが迎えた夏の終わり「幸せでした」

[ 2023年7月22日 23:37 ]

第105回全国高校野球選手権山梨大会・準決勝   山梨学院7―9駿台甲府 ( 2023年7月22日    山日YBS )

記録員としてベンチ入りした中沢マネジャー(撮影・柳内 遼平)
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 第105回全国高校野球選手権(8月6日開幕、甲子園)の山梨大会は22日、山日YBS球場で準決勝2試合が行われた。今春の選抜優勝の山梨学院が延長10回タイブレークの末、駿台甲府に7―9で敗れ、春夏連覇の夢を絶たれた。

  
 試合終了のあいさつが終わり、ベンチに引き上げる山梨学院ナイン。1人、また1人とすすり泣く。記録員としてベンチ入りした中沢日瑚(にこ)マネジャー(3年)も大粒の涙が止まらなかった。選抜で勝利した6試合のスコアを書いた幸運のペン。この日も使ったが、3時間54分に及んだ熱戦が高校野球で最後のスコアとなった。

 「このナインで最後まで一緒にできて幸せでした。悔しいっていうのもあるんですけど“みんな頑張ったな”って思いました」

 父は同校野球部OBのシンガー・ソングライター伸太郎(49)氏。同校のチャンステーマ「BIG WAVE」の生みの親で勝利の際に流される校歌の歌唱も担当。父に続いて野球部に入部した際、吉田洸二監督から「甲子園で何回もあなたのお父さんが歌う校歌を並んで聞きましょう」と熱い思いが記された手紙を受け取った。指揮官の願いは成就し、今春の選抜では父が歌う勝利の校歌は6度も甲子園に響いた。吉田監督の側には記録員としてベンチ入りした中沢マネジャーの姿があった。

 右翼ファウルエリア後方に設けられた試合後の取材エリア。選手が取材を受ける間、中沢マネジャーは足を止めずに道具を整理。いつもの笑顔が少しずつ戻っていった。

 「いろいろなアスリートを支える仕事をしたい」と将来の夢を抱く。この2年半で夢に向かう推進力は増した。「大事な経験をたくさんすることができた。将来に対する思いも強くなりました」と未来への希望を抱く。

 「父と母に“ありがとう”と伝えたいです」。感謝を言葉にした時、乾いていた頬にもう一度涙が伝った。(柳内 遼平)

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