神戸国際大付 「なんくるないさー」報徳学園撃破の立役者、2年生右腕・津嘉山を励まし続けた帽子の言葉

[ 2023年7月22日 05:00 ]

第105回全国高校野球選手権兵庫大会5回戦   神戸国際大付3―2報徳学園 ( 2023年7月21日    明石トーカロ )

<報徳学園・神戸国際大付>力投する神戸国際大付・津嘉山(撮影・須田 麻祐子)
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 第105回全国高校野球選手権大会(8月6日開幕、甲子園)の出場校を決める地方大会が21日に各地で開催された。兵庫大会では、神戸国際大付が今春選抜準優勝の報徳学園を3―2で下した。来秋ドラフト候補の最速148キロ右腕・津嘉山(つかやま)憲志郎(2年)が先発して8安打2失点の完投勝利を挙げ、8強進出に導いた。

 これは波乱ではない。神戸国際大付の背番号10・津嘉山憲志郎が選抜準優勝校を力でねじ伏せた。「直球には自信がある。直球を中心にコースをつければ抑えられると思っていました」。全国屈指の強力打線から9奪三振で2失点完投。5回戦で優勝候補の2校が激突した好カードは、2年生が主役を奪った。

 ヤマ場は3―1の7回に訪れた。1点を返されて、なおも2死二、三塁。一塁が空いている状況で、プロ注目の強打者である堀柊那(3年)との勝負を選択した。「変化球を当てられ始めている。直球中心に攻めよう」。真っ向勝負の前に、帽子のつばに目をやった。油性ペンで「なんくるないさ」と書かれている。沖縄の方言で「何とかなるさ」――。カウント2―2からの直球で左飛に抑えて切り抜けた。

 沖縄で育ち、同校に進学するために故郷を離れた。入学直前、中学時代の同僚が真っさらだった同校の帽子に「チバルヨー」「なんくるないさ」と書いてくれた。その帽子を今でも大切にかぶり続ける。文字が薄くなれば、油性ペンで書き足して消えないようにした。報徳学園との決戦では、ピンチのたびに先輩が「なんくるないさー」と笑って緊張をほぐしてくれた。「冷静だったから抑えられたのかな」。何とかなる精神が大一番で役立った。

 報徳学園には秋春ともに県大会で敗れた。「夏にリベンジするとずっと口に出してきました」。同僚が撮影した相手打線の動画だけでは飽き足らず、動画サイトにある報徳学園の試合は全て目を通した。「リベンジできて良かったです」。兵庫で続く2校のライバル関係が、沖縄出身の青年をたくましく成長させた。(河合 洋介)

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