市西宮、継投ノーヒットノーランで16強 先発バッテリーは小学生時代から名コンビ

[ 2023年7月18日 18:36 ]

第105回全国高校野球選手権兵庫大会・4回戦   市西宮6―0龍野 ( 2023年7月18日    尼崎・ベイコム野球場 )

(左)継投ノーヒットノーランの先陣を切った市西宮の先発・赤井(右)と小野のバッテリー(右)同じ少年野球チームにいた当時の赤井(左)と小野=家族提供=
Photo By 提供写真

 9回表2死、3人目の投手、南光悟(2年)が最後の打者を空振り三振に取り、快挙はなった。3投手継投によるノーヒットノーランだった。

 大会本部、県高野連によると、夏の兵庫大会で継投によるノーヒットノーランは記録として残していない。手もとの資料では、コールドゲームではなく、9イニング戦っての継投では、1999年3回戦、神戸国際大付の新島隆司―上里田光正の2投手が加古川北戦で記録して以来、24年ぶりの快挙だった。

 「特に意識はしていませんでした」と吉田俊介監督は平然としていた。「もちろんノーヒットだということはわかっていました。でも、試合としては、プラン通りの継投策ができたということが第一ですから」

 前日、選手たちに伝えていた継投策は赤井翔太(3年)から南光につなぐ形。途中で西端隼平(3年)をはさむかもしれない、というもの。結果として赤井―西端―南光で無安打零封した。それだけである。

 だから、先発・赤井が6回表まで無失点、しかも無安打とノーヒットノーランを継続していても、その裏に回った打席で代打を告げた。赤井はまだ69球だったが「最後まで投げさせるつもりはありませんでしたから」と迷いはなかった。

 吉田監督が大会でノーヒットノーランに立ち会うのは2016年夏、山本拓実(現日本ハム)が2年生だった夏1回戦、8回コールドで香住を抑えて以来2度目らしい。

 「きょう一番良かったのは赤井がしっかり試合をつくってくれたこと」と監督は背番号「1」のエースをたたえた。
 相手の龍野は今大会2試合で27安打を放ち、17点をあげていた。強力打線のビデオを見て対策を練った。赤井は「低めに丁寧に投げようと心がけました。押すところは押し、引くところは変化球でかわしました」と話した。5回裏には先頭打者として右前打、4点先制への口火を切った。

 リードした捕手で主将の小野颯真(3年)は「ノーヒットでしたが、本当の赤井はこんなものじゃない」とみている。「いま、上がってきているところなんです。次はもっといいピッチングをしてくれます」

 2人は宝塚市の少年野球チーム、長尾タイガース時代からのチームメートで気心が知れていた。当時、小野は内野手。山手台中に進んでバッテリーを組み、宝塚市の大会で優勝している。

 「赤井が何を投げたいのか、だいたい分かる。僕らは兵庫県でも一番心が通じ合っている」と小野が言う。赤井はこの日もサインに一度も首を振らなかった。

 市西宮の投手陣は多彩だ。右本格派の赤井に南光、右技巧派で遊撃手の下田弘太(3年)、右横手投げで左翼手の飯田翔太(3年)、左腕の西端と5人いる。小野は「それぞれ個性がある。一人一人と話し合って、良さを引きだそうと心がけています」と話した。吉田監督は「できるだけ疲れのない状態で投げさせてやりたい。みんなで力を合わせる継投は今年のウチの精神に通じる持ち味です」と胸を張った。

 なるほど、スローガンに掲げる「和~勝利への執念」を象徴する快勝だった。 (内田 雅也)

続きを表示

この記事のフォト

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年7月18日のニュース