都新宿 逆転コールド発進 レジェンド「先生」とOB「教授」の力を胸に3回戦進出

[ 2023年7月15日 05:19 ]

第105回全国高校野球選手権東東京大会・2回戦   都新宿11―2桜丘 ( 2023年7月14日    神宮 )

<新宿・桜丘>6回、新宿・野口の遊ゴロエラーで生還する新宿・中沢(撮影・藤山 由理)
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 第105回全国高校野球選手権(8月6日開幕、甲子園)の出場校を決める地方大会は14日、32大会で継続試合2試合を含む210試合が行われた。東東京では都新宿が、桜丘戦の6回に一挙10得点など逆転で7回コールド勝ち。昨年11月、マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏(49)から指導を受けた成果を発揮し、初戦突破した。

 劣勢でも、都新宿ベンチに焦りはなかった。「最後に1点勝っていればいい。みんながそれぞれいい雰囲気をつくってくれた」と中沢志弥主将(3年)。1―2と勝ち越された直後の6回。先頭から3連打を含む7安打など打者13人の猛攻で、一気に10点を挙げて逆転コールドで初戦を突破した。

 昨年11月。イチロー氏から2日間の指導を受けた。「楽しかったという言葉で片付けていいのか分からないけれど、世界で戦った方が来てくれたことに実感がなかった」と中沢主将。一緒に外野ノックを受けて学んだ成果を披露した。左翼手の野口遼河(2年)が初回2死満塁、7回先頭打者の左翼線への飛球を2度、ダイビングキャッチ。中沢主将は「打者も見てポジショニングを取ったりしていた。裏目に出ることもあったけど、それが結実した勝利だった」と大リーグでゴールドグラブ賞10度の「イチローの教え」実践に胸を張った。

 田久保裕之監督は最大の効果に、精神面を挙げた。「野球を通しての考え方。心の持ち方は頂いたアドバイスで大きかった。野球小僧のように、誰よりも腹から声を出し楽しんでいた」。昨冬、同じく指導を受けた静岡・富士は初戦敗退しており「負けるわけにはいかない。夏の結果をチェックしている。イチローさんが後ろにいるチームなんていない。うちだけの特権というか幸せなプレッシャー」と話した。

 3月に死去したミュージシャンの坂本龍一さんは偉大なOBの一人。同校PTAサイトによる11年のインタビューでは「僕の格言は“下を見るな”です」と現役生徒にメッセージを寄せていた。「秋、春と初戦負けていて、イチローさんは“新宿高校そんなものか”と思っていると思う。一戦一戦戦って、甲子園まで行きたい」と中沢主将。2人のレジェンドの力を胸に、快進撃への一歩を踏み出した。(高原 俊太)

 ▽都新宿 1922年(大11)開校で昨年創立100周年を迎えた。偏差値69前後で、東大、京大など超難関国立・私立大学合格者を毎年多数輩出する都立屈指の進学校。硬式野球部は46年に創部し、夏の東東京大会はベスト8が最高で、昨夏は99年以来23年ぶりに4回戦に進出。春夏通じて甲子園出場なし。校舎は新宿御苑の西側に隣接し、グラウンドは06年に完成。出身プロ野球選手は東大を経て中日に入団した井手峻がいる。

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