ソフトB・大津 新人史上初!「2死」とって1球勝利に「自分でいいんかなと思ったけど素直にうれしい」

[ 2023年6月19日 05:00 ]

交流戦   ソフトバンク9―0阪神 ( 2023年6月18日    甲子園 )

<神・ソ>プロ初勝利を挙げ、藤本監督(右)とグータッチする大津(撮影・須田 麻祐子)
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 ソフトバンクのドラフト2位・大津亮介投手(24)は18日の阪神戦で、史上8人目となる1球でのプロ初勝利を飾った。体重63キロと12球団の支配下選手では最軽量右腕は0―0の6回1死一、二塁で登板し、ミエセスを三ゴロ併殺打。新人の「1球初勝利」は14年の楽天・横山に続き、史上2人目だ。打線は大量9得点。得失点率差で2位浮上し、4年ぶり9度目の交流戦優勝の可能性を残した。

 狙いは外低めスライダーを引っかけさせた併殺打。まさに理想となり、1球で完結した。0―0の6回1死一、二塁。2番手の大津は丁寧に外角に変化を加えた。強振したミエセスは三ゴロ併殺打だ。7回に打線が5得点を挙げたために史上8人目、1球のプロ初勝利が転がり込んだ。

 「思い通りに行けた。うれし過ぎて何も言葉が出ないです。1球で。(勝利投手が)自分でいいんかなと思ったけど素直にうれしい」。史上2人目の「新人の1球初勝利」だが、1球で2死を奪ったのは史上初となる。

 楽天・岸に憧れる福岡出身のスレンダー右腕は、ドラフト2位で地元球団に加わった。150キロ超の直球に加えて7種の変化球を操り、新人唯一の開幕1軍入り。体重は12球団の支配下選手では最軽量の63キロで公表されているが周囲には「70キロあります」ときっぱり。細身で軽視されることを嫌がる、鼻っ柱の強さを貫いてきた。

 背番号と同じ、26試合目で1勝目を刻んだ。ここまで2被弾。翌日まで引きずっていると、ペイペイドームのロッカーで牧原大や津森らに言われた。「まだ気にしてんの?そんなんじゃ1年間、持たないよ」。切り替えを再認識し「寝たら、前日のことは言わない、思い出さないようにしました」。一喜一憂を抑え、結果が出た。

 父の日。九産大九州で15年の選抜にも出場した甲子園で勝利球を手にした。野球を始めるまで、ピアノと水泳を習わせてくれたのが父・真一さん。「今、思えば習い事で土台をつくってくれていたんだなと」。手足の長さ、指先の器用さは今に生きる。記念のボールは父親に渡す予定だ。

 孝行息子、大津の好投もあり、チームは4球団に勝ち越しての11勝7敗。19年以来の交流戦勝ち越しを決めた。チームの貯金も今季最多「9」で、2位に再浮上。交流戦優勝の可能性まで残した。

 「もっと勝てるように。一つ一つ、積み重ねていきたい」。細身のタフネス右腕・大津の言葉は頼もしい。(井上 満夫)

 ○…大津(ソ)が1球でプロ初勝利。1球勝利は3月31日巨人戦で勝野(中)が記録して以来プロ野球47人、48度目。1球でプロ初勝利となったのは16年7月24日広島戦の島本(神)以来8人目。ソフトバンクでは07年9月7日オリックス戦のニコースキーに次ぎ16年ぶり2人目。

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